125号 第1会議室 (2001/08/06)up down
   ● 非拘束名簿方式の選挙戦
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 さて,今週も参議院選挙に関した内容です。
 今回の選挙では,特に比例区選挙については従来の選出方法とは異なり,非拘束名簿方式というものが導入されました。これは,80年まで行われてきた参議院の「全国区」方式とある意味同じ方式ではありましたが,結果的には中身の票の出方にかなりの違いがあったようです。

 この非拘束名簿方式の選挙戦を振り返ってみましょう。


□個人票の出方

 非拘束名簿方式では,個人票も政党票へとカウントされることとなっていました。そのため,政党によっては大物タレントを擁立するなどして,議席獲得のための票の上積みを狙いました。
 しかし,実際には100万票を超えた候補者というのは,数人しかいなかったという現実があります。全国区のときには,一人で300万票も稼いだ方がいらっしゃったのとは対照的なことです。

 今回,このように個人票が伸び悩んだ原因としては,比例区選挙で政党名を書くことに、国民が慣れてしまっていることがあげられると思います。
 衆議院の比例区選挙でも政党名投票ですし,今回も政党名の投票が認められています。そのことからすると,地方区との違いがはっきりわかる政党名の方が、有権者は書きやすかったということでしょう。

 また,もう一つの原因として,いわゆる組織をバックに立候補されている候補者の方々は別にして,比例区に立候補されている候補者の名前が浸透しにくかったというのもあるでしょう。
 これは,本来それぞれの陣営が,それぞれの名簿で活動することが重要ですが,本来の実働部隊である各議員(国会,地方共)が、結局誰を支援するかを明確にできず,その後援会も誰を応援していいのかわからないから,結局政党名でいいやということになってしまっているようです。

 ではなぜ,議員が支援する比例区候補を決定しにくかったのかというと,自らの選挙では,それこそ多くの団体から支援をもらっている訳で,それぞれの団体に対していわゆるお返しをしなければなりません。その団体も一つではありませんから,自分たちの名簿を細分化して支援のお願いをしなければならない訳です。
 しかし,仮に有権者から電話などがあって,誰を支援していいですかと言われて,とっさに比例区まで候補者名を言える議員はいないでしょう。結局そこでは,政党名でお願いしますという結果になっていたようです。


□比例候補の選挙戦

 この比例選挙だけでも,予想通りというか,やはりというべきか,数百人もの立候補者がおられました。投票に行かれた方はおわかりでしょうが,比例区の投票でも個人名が張り出されていました。あの張り出された表を頼りに投票された方が本当にいるのだろうかと思うくらい,小さな字で書かれていました。

 さて,その候補者ですが,当然選挙車を作って全国を回ることができましたから,いろいろな地域で比例区候補の選挙車を見ることがあったかもしれません。
 また,選挙はがきも出すことができますから,一家に何枚もいろんな候補の名前のはがきが来たと言うところもあったかと思います。

 今回の比例区候補の選挙戦は,同時に行われる地方区の選挙とは全くと言っていいほど連動しませんでした。それは,どうやら一度に何人もの候補者がいた場合,それぞれの候補者の名前を言わなければならないので,結局は地方区の候補者の名前が浸透しないということもあったようです。
 また,名前の通った比例区候補ですと,街頭での活動では客寄せにはなりますが,その候補者に,地方区の候補者がかすんでしまうということもあったようです。

 ですから,比例区候補としては,全く独自に街宣計画を練って全国を運行したりしていたようです。

 このように,比例区候補にも当然選挙活動は認められているわけですから,地方区の候補者と同じような活動をするわけです。しかし,結局のところは,地方区選挙を抱えているところでは,地方区が優先され,ある意味邪魔者扱いまで受けるところもあったようです。
 確かに有権者にとっても,街宣車が何台も入ってきていろんな名前が言われれば,誰に投票していいのかわからないというのが現実ではなかったのでしょうか。

 この非拘束名簿方式の選挙戦は,「労多くして・・・」と言われるような選挙戦であったと思います。

吉田


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