140号 第1会議室 (2001/11/19)up down
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□電子メールを利用した選挙戦(3)

 本メールマガジンの第132号・第136号で『電子メールを利用した選挙戦』と称して,特集をさせていただいております。今回はその3回目の『電子メールを利用した選挙戦〜今後の展開〜』です。

 前々回(第132号)では,『電子メールの選挙での2つの利用法』について具体的に見ていきました。前回(第136号)では,『法的な問題点』を中心に見ていきました。今回は,前回・前々回の内容をふまえた上で,電子メールを実際の選挙戦に利用するための提案をおこなっていきたいと思います。利用の問題点から問題点の解決,法整備,今後の展開と見ていきます。


□電子メール利用の問題点

 電子メールを選挙戦に利用する上で問題として考えられることがいくつかあります。

 ◆利用上の問題点

  ・いつのタイミングで,どのくらいの発信回数まで許されるのか。
  ・どのくらいのサイズ(1メールあたりのKB制限)まで許されるのか。
  ・選挙区内有権者に送信してもよい内容と,良くない内容があるのか。
  ・相手から送信OKの意思確認が必要なのか。
  ・送られた相手が第三者に転送することは許されるのか。

 ◆設備的問題点

  ・パソコンを利用できない陣営との格差をどう埋めるか。
   (パソコンを貸与する 講習会を開くなど)
  ・i-modeやEzwebメールなどの携帯メールへの送信は可能なのか。
   (相手に受信料を負担させてしまう)
  ・今後,新規に出てくる技術に対しては,いつ方針が出るのか。
   (新しい技術の電子メールについては,誰がいつ利用方針を考えるのか。)

 ◆法的問題点

  ・どういう利用の仕方が公職選挙法違反になるのか。
  ・電子メールを利用する上で,関連法的な問題が出ないか。
  ・プライバシーの侵害,誹謗中傷などの行き過ぎた場合の取り締まりは。

 具体的に問題点を論じていけば,いろいろな場面を想定したいろいろな問題点をこれら以上に挙げていくことができると思います。これら以上の問題点についての議論は,また別におこなうとして,上記などから見た問題点について考えていきたいと思います。

 では上記問題点を解決するには,どのようにしていけばよいのでしょうか。

□問題点の解決

 問題点の解決は,なんといってもまずは法的な整備が整うことが先決でしょう。しかし,法的整備が整うまでは様々な議論があり,様々な問題が起こってくると思います。その予想が,上記の『利用上の問題点』と『設備的問題点』となってきます。

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 利用上の問題点をまとめると,現在郵送している文書の場合は,たくさんのものを封書に詰めて送ると送料が大幅に高くなるため,それなりに制限をして送付しますが,メールの場合だとかなりの容量のものを送信しても,送り手側も受け手側もそれほど手間がかかるものではありません。

 しかし,たくさんの画像を送信したり映像を送信したりすると,たとえば5メガバイトとかの容量になると,送り手はADSL回線などで簡単だったりしても,受け手側がアナログ回線利用や携帯電話回線利用の受信だと,受信に時間がかかるため,送り手の通信料よりもはるかに高い通信料がかかってしまいます。そうなると,受け手は多額の費用をかけ,受信する必要がでてきまので,受け手の受信承認などの意思確認が必要となってくるのではないでしょうか。

 また受け手がさらに第三者に送信すると,当初の作成者の意図とは違う改変がなされるおそれが出てきます。この場合,元の原稿の送り手とは違う意図で送信することになると,誹謗中傷や意図しない利用などのおそれが考えられてきます。ですので,選挙関連メールの転送禁止などの規制も必要となってくるのではないでしょうか。

 これらをふまえての選挙戦での電子メール利用の提案は,

 ・アナログ回線でも十分受信可能なメール容量に押さえる
 ・選挙中にメールを送信してもよいかどうか、本人の承認をとっておく
 ・選挙期間中には,メールを第三者に転送しないようにお願いする

 という基準が送り手には必要となってくるのではないでしょうか。

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 設備的問題点をまとめると,パソコンを利用できる陣営と利用できない陣営の格差をなくすための施策を用意しなければならないということになります。パソコンを準備することとパソコンが使える人を用意することが必要となります。もしもパソコンを準備できない陣営には,選挙期間中パソコンを貸与したりする必要があるのでしょう。またパソコンが使える人がいない陣営では,要員をパソコン講習に参加させる必要があるのでしょう。こうすることによって,パソコンが利用できない陣営をなくすことができます。

 郵便利用の現在の選挙戦から,なるべく電子メール利用の選挙戦を進めさせるためには,どこの陣営でも電子メールが利用できるようにしておく必要があると思います。また日本全国のインターネット普及率や都市部と地方部とのデジタルデバイドとに応じても,電子メール利用の選挙戦の普及に格差が出てくると思いますが,現状の文書郵送の選挙戦をやめて,電子メールのみの利用などということはないと思いますので,ある程度,電子メールシフトできるように対策を進めておく必要があると思います。また新しい技術が登場したときに,どの当局がその利用の判断をしておくのかも決めておかなければならないと思います。選管だけでは新技術を常にチェックしておくことはおそらく大変でしょうから,専門部局との連携をとる方策などを考えておく必要があるのではないでしょうか。

 これらをふまえた上で,設備的問題点への提案は,

 ・陣営でパソコンを準備しておく
 ・パソコンが使用できる要員を育てておく、もしくは要員を準備しておく
 ・当局は,新技術をチェックできる体制を整えておき,それに対する方針を提言できるようにしておく

 これらの問題点を包括して解決できるのは,やはり法的な整備ということになると思います。法整備をして,利用基準を明確にすることによって,まずは利用可能になると思います。付随してくる問題の解決は同時に図らないといけないとは思いますが。


□法整備(公職選挙法)

 公職選挙法で明確な利用基準を示すことが,電子メールを選挙戦で堂々と利用できる道筋であると考えます。現在は法解釈や見解などで対応していますが,明確な法基準がないために,「このような用途に利用していいのだろうか」「これは文書違反だろうか。」など,実際に電子メールを利用しているという現実にそぐわない状態になっています。事後の警告や注意などが選挙管理委員会や警察から出たのを見て「ああ,これはやってはいけないんだ」という判断が現状なのではないでしょうか。であれば,解釈や判断ではなくて,法整備をすることによって利用方法を根本的に整備した方が,電子メールの選挙利用の促進ができて,より多角的な選挙戦を行うことが可能になると思います。

□今後の展開

 まずは現状利用されていることをふまえた上で,問題となる部分に関して法整備を行っていく必要があると思います。大問題がおこらないうちに問題点を考えた法整備を進めていけばいかがでしょうか。そして利用方法などの実験を行いながら,修正法を整備し,徐々に導入していってはいかがでしょうか。
今,早急に求められているのは,電子メールを選挙戦に堂々と導入できる法整備ではないでしょうか。実際に電子メールは選挙戦で利用されているのですから。受信したくない人にメールを送りつける行為は,迷惑メールの範疇ですから,今後i-mode迷惑メールの問題のように,今後大きな問題となるやもしれません。そんな問題が起こる前に,法的に整備を進めておいた方がいいのではないでしょうか。今後,選挙戦での電子メールの利用は増えていくのは確実でしょうから。


鷲津


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