第4号 第1会議室 | (1999/03/15)![]() ![]() |
● 事前活動での選挙違反 ● |
公職選挙法は原則として「やってはいけないこと」を規定している「べからず」集です。選挙違反とは,この「やってはいけないこと」をしてしまうことです。 一口に選挙違反といっても,軽い重いによって,取締り側の対応も,見逃したり,警告したり,逮捕したりと違ってきます。 公選法では,かなり事細かな規制をかけています。しかし,選挙はまさに戦いの場であり,公選法を気にするあまり,活動を抑制していると肝心の結果がともないません。 実際のところ,選挙違反の一切ない選挙というのは経験上考えられないほど,気付かないうちに違反している陣営は多いです。あくまで,見つかっていないだけだと心得ましょう。 ですから各陣営は,公選法をしっかり理解しておくことが大事なのは,言うまでもありません。その上で,各陣営はどのレベルまでリスクをおかすのかを「自分たちの責任において」判断することが必要になります。 ■Q1.陣中見舞い ある方が陣中見舞いとして,金一封を事務所に持ってきました。 そのときは事務所のボランティア運動員しかいなかったので,とりあえず頂きました。 ☆A1.答えと解説☆ とりあえず誰が持ってきたものなのかを調査しましょう。 ですので,かならず寄付として処理するかお返ししましょう。 ■Q2.選挙ハガキ 選挙ハガキの宛名書き紹介で,宛名書き依頼の文書を持っています。 依頼先に行ったのですが,あいにく先方は不在でした。しかたなくポストに投函して,後日電話で知らせることにしました。 ☆A2.答えと解説☆ まず,選挙ハガキを直接ポストに投函してはいけません。 仮にそうしなかったとしても,依頼に行った時点で,候補者陣営への回収の可能性がある,という証拠がなければ,文書違反に問われます。 この場合, ■Q3.後援会活動 市議会議員候補○山○男の陣営では,選挙に向けた決起集会を企画しました。会費¥5,000,動員目標は300人です。そこで○山陣営では,支持者Aさんに10枚のチケットを知人に販売してもらうように依頼しました。 Aさんは熱狂的な支持者なので快諾,代金¥50,000を支払いました。ところが,売れ行きが芳しくなかったので,チケットを無料で知人に渡しました。 おかげで集会は目標を達成し,成功しましたが…。 ☆A3.答えと解説☆ これは,明らかに買収罪です。 イベントの際,支援組織を使ってチケットを販売する手法は効率がいいのでよく行われます。しかし,Aさんのような動員の仕方をする人は意外と多く,選挙違反であるという認識がありません。 特に,組織の末端に行くほどその認識は薄れるものですし,えてして末端から芋づる式にバれる場合が多いのです。 ■Q4.労働組合 ○田さんは,全日本△△労働者組合に後押しを受けた,市議会議員選挙の立候補者で,いわゆる労働組合組織内候補です。そこで,△△労組は,是非当選してもらおうと,選挙の運動員として,組合員5人を派遣することにしました。その5人が選挙に関わっている間の給与は,会社が払っています。 ☆A4.答えと解説☆ 買収の可能性があります。 ただし,「これは,組合の活動の一環であり,別に選挙だからといってどうこうしているわけではない」という逃げ口上があります。もちろん,その実状を示すものがあることが前提ですが。 ■Q5.選挙事務所開き ○岡候補は選挙事務所を開設することになりました。景気良くやりたいので,ボランティアや近隣の人を大勢集めるために,広報することにしました。文面は以下のようなものです。 「×月×日に,○×△町○○で○岡○朗選挙事務所の事務所開きを行います。ご家族みなさまによろしくお伝えください。」 ☆A5.答えと解説☆ 文書違反でアウトです。 ただし,事務所開きの広報は必要なので,表現がオーバーにならないようにするのが妥当です。しかも,不特定多数の人に配らないのがいいでしょう。 ■Q6.パーティ 後援会のパーティーを行いました。「パーティー」ですから,当然目玉が必要と考え,,出演料を支払って有名歌手2名を呼びました。 さらに会費は無料にして,より多くの客を集めることができました。無料ということで,食事代は取っていないので,違反に気をつけて,飲食物はいっさい出していません。 結果は非常に好評で,パーティー参加者の方々もご満悦でした。 ☆A6.答えと解説☆ 買収罪かもしれません。 出演料と会費の合計とを比べて,あまりにバランスが悪い場合は気をつけた方がいいと思います。 できれば,有名人を呼んでパーティーをする場合,出演料を人数分で割ったぐらいの会費にする方がいいでしょう。 実際のお話として,有名歌手のショーは,本来数千円〜1万数千円は出さないと見られないようなものなのですから,会費無料では違反ではないでしょうか? ■Q7.ホームページ △△県議会議員候補○井○士候補は,最近プロバイダに加入したばかり。ここは,はやりのホームページとやらを作って,名前を知ってもらおうと考えました。 そのとき丁度,ホームページを作れる支持者がおり,制作を快く引き受けてくれました。タイトルは「○井○士ホームページ」。大きく名前と顔写真を貼り込み,政策理念を書きました。 さらに統一地方選挙のため,どの公職の選挙なのかわかりにくいので,「△△県議会議員候補,○井○士」「4/11が投票日です」と書きました。 ○井候補,このホームページのなかなかの出来映えに,早速一般公開をしました。 ☆A7.答えと解説☆ 最悪です。今すぐ削除しましょう。まず間違いなく文書違反で検挙です。 でも,これと同じのが,実際に存在しているんですよね(笑)。気づいたあなた,公民権停止の前に消してね。 選挙運動期間外に「選挙の名前を出して,候補者の名前を言って,投票依頼をした場合」は選挙違反です。ここには選挙の名前は出ているし,候補者の名前はもちろん出ています。 つまり,控えめにしましょうということです。ちなみに,選挙運動期間中に候補者のホームページを公開しておくと,危険です。某市長が警察から警告を受けた例もあるので,一時停止にするのが無難でしょう。 ■Q8.電子メール 選挙直前なので,あらゆるメディアを活用しようと思い,政策宣伝のための電子メールを出すことにしました。 知る限りのメールアドレスに政策電子メールを出し,さらにホームページ上で興味ある一般の人からメールアドレスを教えてもらい,そこにも出すことにしました。 ☆A8.答えと解説☆ 自治省見解では電子メールは通常郵便と同じと考えられています。 類推させる売名行為と見なされて文書違反に問われます。 通常,こういった郵便・電子メールは 最近,この手のメールマガジンが増えつつあります。受け取る側は違反に問われることはないですが,できれば発行者に注意してあげましょう。 (編集部)
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