12号 第1会議室 (1999/05/10)up down
   ● 政治家とはそもそも何でしょうか?
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□政治家とはそもそも何でしょうか?

 統一選挙も終わり,日本各地でたくさんの議員さんや首長さんが誕生しました。
 今回当選した議員さん・首長さんに,国会議員や統一選とは期日の違う議員さん・首長さんを加えると,全国で約66,000人の現職政治家がいることになります。これに,落選中の人を加えると,さらに2〜3倍の「政治家候補」がいると言われています。

 ところで,いったい「政治家」とは何者なんでしょうか?
 統一選も終わって,ほっと一息というところで,今回はちょっと本質的なことについて書いてみたいと思います。

 さて,この問いに対して形式的に答えれば,

政治家=国会議員(衆議院議員+参議院議員)
    +都道府県議会議員
    +市町村議会議員
    +首長(都道府県知事+市長村長+区長)

という感じでしょう。

 では,こうした政治家は何のために存在しているんでしょうか?。そもそも,なぜ政治家は必要なんでしょうか?

 ここで一つ問題です。
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 A村というちっちゃな村があります。今年は雨が少ないので,水不足。そこで,井戸を掘る必要があります。
 ここで問題です。
 誰がいったいこの井戸を掘るのでしょうか?。みんな,井戸掘りの苦しい仕事をしたくありません。また,どこに井戸を掘るのでしょうか?。みんな,自分の家の近くに掘りたがっています。
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 さて,皆さんならこの問題をどうやって解決するでしょうか。


 この問題みたいに,現代の我々の社会においても,たくさんの人に関わる重要な問題が山のようにあります。そして,社会としてこうした問題に対処するためにいろんなモノゴトを決めていかなければなりません。
 では,誰がいろんなモノゴトを決めるのか?。

 その答えがまさに「政治家」なのです。

 古代都市では,問題をみんなで集まって決めていました(直接民主制)。
 ある時期は,一部の有力者だけで話し合って決めていました(貴族制)。
 ある時期は,継承されてきた一族のものだけで決めていました(君主制)。
 ある国では,無茶苦茶な王様が無茶苦茶なコトを決めていました(専制)。

 このように,人類はいろんな制度で社会的な決定を行ってきました。その結果,現代多くの国家で採用されている政治制度,すなわち間接民主制(代議制・議会制民主主義)が誕生しました。政治家は,まさにこの制度の中心的な役割をはたす人たちなのです。
 人間は一人では生きて行けません。人間が社会を形成して生きていかなければならない以上,かならず社会としてモノゴトを決めなければなりません。

 ということは,必ず政治家は必要なのです。

 確かに,現代の政治家は質的に問題のある人が多いかもしれません。でも,だからといって,政治家をなくすことはできません。
 あなたの身の回りの政治家は例題のような問題をうまく解決してますか?。もし,あなたがうまく解決する答えをお持ちなら,あなたも政治家の素質があるのかもしれませんよ。


□本来の議員の仕事とは?

 地方議員と国会議員とで,仕事が変わってきます。
 よく出てくる論議ですが,国会議員は国政に関する仕事を,地方議員は,その地方に関する仕事を,という具合にです。

 例えば,本来,「地方に新幹線だ」「高速道路だ」などと国会議員が話をするのはおかしな話です。地方に道路が必要だと判断するのは地方議員ですから,その方たちが努力をしなければなりません。
 また,よく地方議会で国政に関する決議などを行いますが,そんなもの国政に関しては何の拘束力も持たないものですから,それは地方の仕事ナはないはずです。
 いうなれば,地方議員はより市民・住民に近い立場で仕事をし(いわゆるどぶ板ですが…),国会議員はもっと大きな視野に立って,広く国民を意識して仕事をするのが原則です。


□実際の議員の仕事

 では,実際の議員の仕事というと何でしょうか?

 今のご時世ですから,一番多いのは就職に関する相談です。
 別に,地方議員であれ,国会議員であれ職安ではないのですから,そんなことまでする必要などありませんが,しかしながら,それをまるっきり断ってしまうと,次の選挙に響いてくるわけです。

 地方議員の斡旋では,あまり大きくない会社になります。それこそ,少しでも名前が通っている会社に入れればもう大威張りです。
 これが,国会議員ぐらいになると,そこそこ名前が通っていないと,きついものがあると思います。しかし,それこそ昔のように,政治家の神通力で就職できるというのは,やはり少なくなっていると思います。各企業もそれほどゆとりはありませんから。

 あと,多い仕事は地方・国会問わず地元の陳情です。

 国会だけかと思われるでしょうが,なんのなんの。さにあらず。
 地方でも,自分のホントに出身している地域(狭い地域ですが)の道路の側溝がどうとか,電気がどうとかというような陳情をこなさなくてはなりません。ですから地方議員といっても,全地域的な視野に立って物事を考える議員というのは,非常に少ないのが現状です。


□給与・報酬は?

 給与に関しては,ピンからキリまであります。

 それこそ小さな町の議員さんは月額15万円というようなところもありますし,片や国会議員は月額150万近いわけですから。
 ただこれは,どのレベルの議員についてもそうですが,正式にもらえる給料とは別に,地方では会派の調査費だ,議会に出席の補填だ,なんだかんだとあります。国会では,JRのフリーパス(私鉄についてもそうだと思いますが)や通信費などと,給与以外の収入もあるわけです。

 ただ,議員報酬に関して言えることは,国会・都道府県会・政令指定都市会,人口規模の大きな都市(中核市など)の市会議員ぐらいでしか,議員単独の報酬では生活ができないのが現状です。
 これを良いと捉えるのか,悪いと捉えるのかは意見の別れるところですが,現状ではどうしても小さな町になればなるほど,兼業が増えます。

 しかし,欧米諸国では,特に地方議員は,ほぼボランティアに近い報酬です。ですから兼業が多いわけですが,議会の開催が日曜であったり,夕方からであったりするため,非常に幅広い層の議員が参加できます。
 それに比べて,日本の場合は,農業か土建業が多くを占めます。それは議会が平日に開催されるのが多いからでしょう。
 また,企業を辞めてまで…というリスクの問題もあります。
 この辺は生活と報酬とが絡んだ問題ですから,非常に難しいものです。



編集部


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