14号 第1会議室 (1999/05/24)up down
   ● 参議院議員のための基礎知識
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□参議院の基礎知識

(1)参議院の歴史

 参議院の「参議」とは,国政に参与することであり,またそのような職に就いている人のこと,「院」とは立派な建物を指し,公の仕事をするところ,という意味があります。もともと「参議」という言葉は,奈良時代の官職の名称で,他の国の制度を参考にして,知恵を出し合い,国会をサポートしながら議会の働きを達成しようという考えのもとで,「参議院」となりました。
 また参議院は,衆議員の監視役という立場をとっており,「良識の府」という呼び方もあります。

(2)参議院の任期

 参議院議員に立候補できるのは30歳からです。
 定数は252で,選挙区選出議員が152人,比例代表議員が100人となっています。この選挙制度については(3)で詳しく説明します。
 任期は6年で,3年ごとに全参議院議員の議席の半分にあたる126の議席(選挙区選挙76,比例代表50)が改選されていきます。なぜ,全議員まとめて選挙をしないのか?という理由は,選挙によって国会の機能が停止してしまうのを防ぐためです。また,参議院には解散がないため,確実に6年の任期を務めることができます。

(3)参議院の選挙制度

 第1回の参議院選挙のときは,全国区と地方区に分かれており、どちらも候補者本人に投票されていました。当初は全国区が100,地方区が150の,合わせて250の議席数でしたが,1972年の沖縄の本土復帰によって,沖縄県選出の議員が2人増え,合わせて252人となりました。
 全国区の選挙制度は,日本のどこの地域の人も同じ枠内で投票をするため,タレントやアナウンサーといった著名人が断然に有利となっていました。また,そういった著名人がこぞって立候補するようになり,いつしか人気投票的な気風が強くなっていきました。そのため,昭和57年(1982年)に全国区を比例代表制に,地方区を選挙区制に改正しました。

 選挙区選挙は,47の都道府県をそれぞれひとつの選挙区として,人口に応じて多いところで5議席,少ないところで1議席が割り当てられます。これはもちろん候補者本人に投票します。
 比例代表選挙は,具体的には「拘束名簿式比例代表制」というものを用いて,個人に投票するのではなく政党やその他の政治団体の名前で投票します。候補者を出した政党やその他の政治団体は,あらかじめ順位をつけた名簿を提出し,得票数に応じて順位の若い人から当選が決まっていきます。この計算方法は,ドント方式を採用していますが,この方式には3パーセント条項というものがあり,投票数が総投票数の3%に満たない政党は当選者が一人もいないことになります。


□国会での参議院の役割

・参議院はなぜ存在しているのか?

 衆議院と参議院,さて目立つのはどっち?。
 まず,圧倒的に衆議院の方が目立っていると思います。実際のところ,権力的にも,法案可決・条約承認・予算可決・内閣不信任・総理指名では,衆議院の決議の方に優先権があります。与党議席数が多くなれば,参議院の与党提出議案通過率が100%で,大した変更もされないなんてこともあります。では,参議院は国会のおまけかというと,さにあらず。

 ではなぜ,議会を2つも作ったのか?。
 まず,基本的な民主主義の制度上で,(1)どう権力をコントロールするかということと,(2)国民の意思をどう反映するのかということが問題となります。この2つの問題を解決するために参議院はあり,このように議会が2つあることを二院制といいます。

 例えば,衆議院を過半数の賛成で通過した法案でも,参議院で反対の議決が出れば,今度は,衆議院の2/3以上の賛成をとらなければ法律として成立できません。一昔前の与党なら単独で衆議院の2/3,340人以上の賛成票を何とか確保できましたが,現連立与党は305人。42人を要する○明党の顔色をうかがうはめになります。参議院には抑止力があるわけです。
 これが,(1)の権力のコントロール。参議院には与党への権力集中を防ぐ機能があるわけです,

 もう1つの(2)国民の意思をどう反映するのか,ということは選挙制度の違いで実現しています。小選挙区で多数派を衆議院に集め,全国に分散する少数派を比例代表区で参議院に集めるといったことで,タイプの違う議員構成を作り,多くの国民の意見を取り入れています。といっても,最近はあまり少数派自体が少なくなくなりましたね。現在の参議院には,UF○党とか,サラリー○ン新党とか,希少価値の高い党がありませんし。


・実際の活動内容

 通常の活動自体は,衆議院議員と何ら変わることはありません。議会でヤジ飛ばし。利権団体のご用聞き。国会見学する支持者のご案内。視察ついでに観光地巡り。まあ,これは冗談。
 きちんとした議会は,通常国会が年150日間,選挙後などで臨時国会が追加されるとさらに会期が追加されます。毎日出庁しなくてもいいのですが,地元にいるか,視察に行っているか,選挙前で地方巡りなどの理由がないかぎりは,ほとんど出席しているようです。

 国会での活動は,主に本会議と委員会があります。本会議は議員全員が出席し,参議院本会議はいつも月水金曜に開かれます。委員会については,議員であれば必ず1つの委員会に所属しており,議案の実質的な審査場所となっています。
 ですから,月水金は本会議,火木は委員会,土日がお休み(地元に戻る人も多いですが)といった場合が多いです。また,普段は午前中から出庁して,晩に帰るという生活形態です。議会も大詰めになると,夜中まで本会議なんてこともありましたが。


編集部


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