第17号 第2会議室 | (1999/06/14)![]() ![]() |
● 選挙中でのお話 ● |
□ポスター貼り 選挙が近づくと,いたるところに党のポスターが貼られます。あのポスターは公共の場所には貼ることができず,各家庭にお願いをして貼らせてもらわなければなりません。 同一選挙区での同一政党では,選挙区を候補者で地区割りすることが良くあります。でも,具体的にどこが誰の地域か,いまいち理解していませんでした。 近くに同政党の候補者の事務所があるのは知っていたのですが,別にいいかなと思ってお願いに伺っていました。ある商店に行くと,気難しそうなおっちゃんが出てきたので,まずいかなと思ったら案の定,「おまえのとこは△△党だな。ここは同じ党の□村□男の地盤だろう。何しに来たんだ。」からおっちゃんの説教が始まりました。話していくうちに政治批判に移っていき,その説教は延々1時間を越えました。最後は,「おまえらみたいなのがいるから,日本は良くならないんだ!」とまで言われてしまいました。 そフ後あまりのショックに,どこの家にも行けず,そのまま事務所に戻ってしまいました。自分の行動を悔やむと同時に,知らないということの恐ろしさを身をもって経験しました。ただ少しだけ,「そこまで言わなくても」という思いはありましたけど… □訪問者百珍 選挙事務所では,いろいろな人が訪問してきます。 街宣車を送り出して,朝の活動が一段落すると,まずやってくるのが地元のおじいちゃんおばあちゃん。朝のゲートボール帰りに,選挙事務所に立ち寄って,お茶とお茶菓子を平らげていきます。この人達は,椅子とお茶があれば充分なので,放っておくだけですね。 昼になると,候補者に会おうとタイミングを見計らって,組織のお偉いさんとか,差入れ持った支持者なんかが来ます。とはいえ,候補者だって疲れている。となれば,取る方策は,おのずから決まります。 候補者は奥に引っ込めて,食事に休息。客人は,適当に事務所の人間が応対します。 いくらなんでも,候補者がカエルのように手足広げてひっくり返ってるなんて,関係者以外立入禁止。でも,客人には「いま,ミーティング中です」なんて言ってごまかすんですが。 すると客人は,候補者が再出発間際の1分間だけ,やっと会話できることになります。で,そのまま,客人も用が済んだのでお帰りになられます。 午後は,手持ちぶさたの主婦の方々がちょくちょく来ます。一応ボランティアのつもりで来るので,適当に仕事とお茶を押しつけておきます。もっぱら仕事はせずに,世間話ばかりですが。 晩の8時9時頃には,仕事帰りの候補者の知人が来て,いつの間にやら同窓会。これに候補者を付き合わせると,長くなる上に次の日に響くので,自宅にさっさと帰らせます。 さらに,選挙をかじったことのあるおっちゃんが,戦況を聞きに来つつ,いちゃもんをつけに来ます。とはいえ,意外と偉かったりするので,下にも置けず,結構手こずるんですが。とりあえず,話を聞いているフリをしつつ,適当にあしらいます。 最後に,真夜中に事務所の入り口をたたく音が…。見れば,終電帰りの酔っぱらい。選挙事務所は人通りが多いところに作る上に,看板に照明を当てているから,当然,こういう人が来る可能性は大。 選挙民にイヤな顔も出来ず…。仕方なく,入り口を開けると,なにやらろれつの回らない口調で 「いやあ,○○駅の階段が歩幅に会わないのが,うっぷ,納得行かないんすよ。是非当選の暁には,あれをなおしてもらわないと。もう,がんばってくらさいね〜」 にっこり愛想笑いで,追い返す。さて,この苦労がどの程度報われるのやら…。 □選挙の途中経過 選挙戦の最中,もっとも気になるのは現在自分の陣営は何位なのか?。選挙戦も終盤になると,マスコミ情報,警察情報,役所からの情報なんかも色々入ってきます。 それに加えておもしろいのが来客者の数。 「○○候補は勝った」なんて情報がとびかうと,選挙事務所への来客が一気に増えます。 中でも多いのは,○○市指定××株式会社の総務部長さんとか,○○市××局の局長さんといった方々です。強い候補者のところには,こういった面々の名刺や陣中見舞いが山のように積まれてます。 反して,負け候補の選挙事務所はがらーん。 そのうち,後援会の人なんかも顔を出しにくくなって来なくなる。考えただけでも寒いですね。 これなんかも,選挙の情勢把握の一つの要素です。ご参考までに。 □投票日の候補者 投票日は,選挙運動は終わり。後援会の人などは,昼過ぎから夕方にかけて事務所に来て,後片付けや祝賀会の用意などをします。 候補者はというと,開票結果が出るまで自宅で待機しています。勝ち目のある候補者は余裕の表情ですが,負けそうな候補者はどうにか当選ラインに引っかからないか,負けたらどういう弁解するか,なんて考えて,結構ドキドキもの。 そして,当選すれば例によって万歳三唱,落ちれば敗戦の弁を述べてそのまま解散,という運びになります。 これまで,勝ち選挙,負け選挙のどちらも経験しましたが,勝った喜びよりも負けた悔しさのほうが印象に残っています。負けると挨拶だけをして,すぐ解散になるため,帰る途中に見える,当選した候補の事務所の盛り上がりに,胸が張り裂けるほどの悔しさがあったことを覚えています。 (編集部)
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