第24号 第1会議室 | (1999/08/02)![]() ![]() |
● 地方政治 ● |
□地方でおこなわれる政治とは? 最近は,国会周辺が非常に騒がしくなっています。 それは,今まで山積していた様々な政策課題が決定していくからに他なりません。こうした,国政に関する話題は多くのメディアに登場し,そのため国会での議論や動きというものが国民の目には見えやすくなっています。 しかし,遠くの政策課題であるはずの国政の動きがよく観察できるのに対し,本来は国民生活に直結するはずの地方政治の動きは,全くと言ってよいほど目にする機会はありません。 ごく稀に地方独自の有線放送などで,中継されたりするぐらいが関の山です。 これは,メディアの取り上げ方にも問題があります。 よく,選挙の前には情勢分析だといっては取り上げていますが,いざ議会が始まってしまうと,余程のことが無い限り記事にはなりません。そのときの記事も,いわゆる問題議題が出てきたときだけといったもので内容に偏りがあると言えます。 こういったことが,国民に直結しているはずの地方政治が,どんどんと見えにくくなっている原因であるといえます。 ここでは,地方政治ってなにをしているの?,という素朴な疑問から現在の地方議員が行なっている政治というものを検証したいと思います。 □地方議員の仕事って? 地方議会は,概ね年4回の開催が定例です。 しかし,この定例議会は形骸化しているといっても過言ではありません。 何故なら,その定例議会が決定しなければならない議案(議題)は,首長与党の会派に理事者側(行政職員の部課長)から事前説明と,通過のための丁寧なお願いがなされているからです。 つまり,首長与党会派が議会過半数を握っていると,もう議案の通る通らないは,議会で賛成反対を決める前に決定してしまうというわけです。 当然,見返りとして理事者側からは,与党会派の中でその議会で質問(代表・一般)をする議員の手柄になりそうな情報が流れます。 例えば,行うことが内々に決定しているが,公表まではされていない政策などが流れます。 議員としても,全く行なう目途の立たない事柄を質問するよりも,近々目途が立ちそうな事を質問して確約を取る方が,有権者には出来る議員と映り,次の選挙にプラスなります。 こういったことが定例議会ごとに行われ,そのため,地方議員本来の政策提言の機会がどんどんと失われていっている訳です。 では,政策提言をしないとなれば,日常的に地方議員は何をしているのでしょうか?。 よく,「ドブ板」という言葉を耳にします。 特に地方議員の仕事には使われる機会が多いようです。この言葉こそが,現在の地方議員の仕事の内容を端的にあらわしています。 つまり,地方議員の「地元」の有権者の細かな要望を,マメに解決してあげることが大きな仕事となっているのです。 この「地元」ですが,国会議員の地元は,選挙区をあらわしていますので,はっきり定められます。 しかし,地方議員での地元の意味となると,都道府県会議員の場合は,選挙区と一体です。その他の地方議員の場合,居住している地域が地元になります。つまり,市町村の中でも,細かく地域が分かれているということです。 地元の要望はそれこそピンからキリまでで,「どこどこのドブが詰まっているのでドブさらいをしてほしい」といったことから,「地元で予算化が必要なことの陳情に行くのでついてきてほしい」といったことまで,こなしていかなくてはなりません。 特に,市町村議員は「地元」の票さえあれば,当選することが出来るので,その地元の事だけを優先的に行ない,行政区全体のことを考える議員がどんどんと少なくなります。 このドブ板こそが良くも悪くも,今の地方議員の仕事の第一義であるようです。 □地方行政で担う地方政治の役割とは?(提案) 地方議会の役割は,行政のチェック機能と政策立案であるはずです。 しかし,その両方の機能が形骸化している今日,もう一度地方議会の役割を考え直してみなければなりません。 確かに,地元の要望を行政に通すことも重要な仕事ですが,それだけではなく,車の両輪のように,政策提言も行なう必要があります。 そのためには,地方議員自身が地域のこと,政策のことを学ばなければなりません。 行政職員は担当部署の仕事を一日中行なっているわけで,それに太刀打ちするためには生半可な知識では逆になめられてしまいます。 しかし反対に,その行政職員と連携することで,お互いに連帯意識というものも芽生えるのは事実です。その点をうまく使いこなすことが重要になると思います。 行政組織は,今の日本の中で珍しいほど,年功序列が生き残っている組織です。つまり自分の意志にかかわらず,年齢が上がるほどに地位も上がるようになっています。 そのため,利用者が住民であることを考えると,一番,職場内での意思疎通が図れていないといけない組織であるのに,そうでもないのが実状です。 この点をうまく使わなければなりません。 今の年功序列の行政組織の中では,上司となるべき人が理解できないばかりに,現場でよく勉強している職員の意見が握りつぶされていることがよくあります。 その時に,現場の意見を聞きながら,自分なりに理解を深め,議会で提言し,政策を進めていく。こういった形で,政策提言をおこなっていくことが,やはり今,重要だと思います。 (吉田)
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