45号 第1会議室 (2000/01/10)up down
   ● 地方議員覆面座談会 第1部
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□登場人物

・S県会議員(40歳)
・O政令指定都市会議員(34歳)
・T市会議員(28歳)

聞き手 吉田健一郎(office-SPC)

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----- 本日は,お忙しい中,お集まりいただきましてありがとうございます。
まずは,自己紹介からお願いします。

S県議 県会議員をしている,Sです。現在,2期目で40歳です。

O市議 某政令指定都市で,市会議員をしています,Oです。昨年の選挙で初当
選しました。現在,34歳です。

T市議 人口10万程度の市で,市会議員をしています,Tです。私も,昨年の選
挙,初当選組です。28歳です。

----- ありがとうございます。本日はざっくばらんに地方政治をお話しくだ
さい。それにしても,Tさん,28歳ですよね。お若いですね。

T市議 ええ,どこの会合に行っても,真っ先に言われるのはそれですね。誉
められているのか,馬鹿にされているのか。あまり誉め言葉としては,取
っていないんですけどね。

S県議 私が初当選をした時が,32歳ですから,それよりも若い…。私も若手,
若手と言われてきましたが,そうも言ってられないですね。

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T市議 私のところについて話すと,小さい市ですから行政の職員の顔が良く
見えるんですよ。良く見えると言うのは,「何々課長はどこの地域の出身
」だとか,「誰々部長は選挙のときに誰を応援した」とか。そんな中でや
っていくので,非常にやりにくい。
 私も,その市で生まれ育ちましたから,「どこどこの息子」みたいな感
じで,まるで子供扱いなんですよね。

S県議 難しいですよね。それだけ顔が見えるというのは。私の初当選のとき
でも内心は別にして,やはり区別はつけてましたよ。

O市議 私のところでも,そこまではないですね。やはり職員の数にもよるん
だろうか。

----- やはり,「若造に何ができるか」というような風潮はあるんでしょう
かね。

O市議 でも,行政のすべての分野で詳しい情報を持っているわけではありま
せんが,若くても,それなりに勉強をして,ある意味,職員よりも先の理
論ていうか,理念みたいなものはつかんでいる分野というのはあります。
しかし現実に,その話を行政にしてみても,のれんに腕押しというか,ヌ
カに釘というか。

T市議 私のところでは,もっと顕著ですよ。だって,市会議員ていうのは,
地元の要望をその地元の代表者と話に来ることだって意識ですからね。難
しい話は困ると…。

S県議 それからすると,まだましかな。一応,専門的に勉強している職員も
いるし,その人たちとは議論はかみ合いますからね。でも,地元の要望は
仕方ないんじゃないかな。議員の宿命だよ。

----- やはり,理想と現実のギャップはありそうですね。地元の要望って言
うのはどんなものですか?。

O市議 私のところの場合,道路関係が多いですね。どこそこの道路を整備し
てくれとか,信号を設置してくれとか,側溝が邪魔だから,蓋をしてくれ
みたいな。

S県議 私らの場合,やはり地元といっても,市町村がありますからね。その
市町村の要望を手伝うというのが多いですよ。
 あと,困るのは警察関係。揉み消しなんて,大変ですよ。最近,どこの
警察でも不祥事にピリピリしていて,そんな中で出来るわけないじゃない
ですか。それこそ,マスコミに知れたら大変ですよ。昔は良かった,って
話は良く聞きますけどね。

T市議 えっ,それって揉み消しが出来たって事ですか?。

S県議 みたいだよ。飲酒はさすがにだけど,スピード違反は…まあ程度によ
りけり,だとかさあ。
 あと,余談だけど,同じ県会議員でも,政令指定都市の行政区から出て
いる議員の話では,「ほとんど要望が無くて暇」って聞くよね。

O市議 そうですね,地元の権限が強いから。県に頼むのは,警察とか河川と
かぐらいじゃないですか?。ほとんど市で出来ますもん。

T市議 私たちの場合も,やはり信号や横断歩道と言ったものは多いですね。
 あと,一番困ったのは「駅舎改築に併せて,南側しか改札がないのを北
側にも設置してくれ」というのがあったんですよ。でも,北と南の乗降客
の予測をすると,1対10ぐらいなんですよ。いくらなんでも無理だって,
思わず言いそうになりましたよ。財源は限られているのに。

----- でも,その財源を考えずに,無理難題を言うのが有権者なんだよね。
そういった人たちに限って「選挙で応援してやったじゃないか!」みたい
な,恩着せがましい態度じゃないですか。

S県議,O市議,T市議 (一斉に)ノーコメント。

----- 他の議員についてはどうですか?

O市議 私たちの場合,差が激しいですよね。ホントに良く勉強をしてくる議
員はいるんですよ。どこからそんな情報をつかんだんだ,というようなも
のもありますし。
 ただ,勉強と言っても,理論的な勉強をしてから,現実に即して出来る
のか真剣に検討をしてくるんですよね。建設的というか,単なる批判勢力
とは少し違う。そして,そういった議員はうまく若手の職員を利用してい
る。

S県議 あるよね。行政とうまく人間関係をつくる議員というのはいるんです
よ。そういった議員は,多くの情報を持っているよね。まあ,行きすぎれ
ば「原稿すべて職員任せ」みたいな人もいるけど。
 行政と言うのは,大きなシンクタンクなんですよ。膨大な情報を持って
いる。その情報の出し方は,なかなか1期目ぐらいじゃ分からない。それ
が分かれば本物だと思うよ。情報公開なんていってるけど,あれは議員が
一番使うべきなんだよね。

T市議 私たちの議会は,それこそ1000票ぐらいあれば当選するんです。とす
ると,えてして,反対オンリーの人がポッと当選しちゃう。私たちは,ク
ラッシャーと呼んでるんですけどね。
 壊すのは構わない,でも「その先をどうするのか?」というビジョンな
しに壊しちゃうと,単なる無責任になっちゃう。その辺を理解していない
人たちって,結構多いんじゃないですか。あと,それこそ田舎型の選挙で
すから,地域のいいおっちゃんみたいな人が出てくる。でも,そんな人た
ちって,行政にとっては使いやすいんですよね。

----- 結構出てきましたね。だったら,理想とする議員像とは何ですか?。

T市議 市の未来に対しての政策的な提言が出来る議員でしょうね。

O市議 それだけじゃ無理だよ。ていうか,Tくんの市でそれは,不可能に近い
んじゃない。私の場合は,半分は地元,であと半分は市全体に関すること
を責任を持って出来る議員だろうね。難しいけど。

S県議 熱いなあ,みんな。やはり現実を見て,地元の代表という看板ははず
せない。三権分立とはいったもので,議会も三極が良いんじゃないかなと
思う。まず,地元代表バリバリの人は必要,そして全体像を考える人も必
要,最後は完全批判勢力,これも必要。

T市議 そうなんですか?。

S県議 あくまでも私の意見だよ。やはり,地元代表や政策的に考える人って
いうのは,行政に近くなっちゃうんだよね。うまくバランスが取れれば良
いけど,一つ間違うと馴れ合いになる。つまり,言いたいこともいえなく
なる。
 そこはやはり,クラッシャーじゃないけど突っ込み役は必要だと思うね。
それぞれが,バランス良く議会にあれば,結構活性化すると思うんだけど
ね。

----- 面白い意見ですね。さすがに熱い思いで立候補された皆さんだけある。
理想と現実というのはどこにでもあることですが,その現実を踏まえ,ど
う理想に導くのかが必要ですね。みなさんのご健闘をお祈りします。



吉田


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