第48号 第1会議室 | (2000/01/31) |
● 特集!政治資金 ● |
「政治家の事務所って,どういった収入で運営してるんだろうか?」,こんな疑問を感じる読者は多いのではないでしょうか。 これには,所属党派や個人によってかなりの差が有りますが,一般的には「寄附」や「パーティ収入」によって,事務所の運営費用や必要経費を捻出している,という答えが返ってきます。多くの議員さんは,このように運営しています。 「政治家とカネ」と言えば,皆さん方は何かダーティーなイメージを持たれるかもしれません。しかし,自分の政策や政見をより広く訴えるためには,カネがかかるのも事実です。 だからといって,どんな形でもカネを集めて良いかというと,決してそんなことはありません。「政治資金規正法」という法律によって制限されています。 それでは,政治家(特に今回は国会議員を例にとります)はどんな形でカネを集めるのでしょうか?。 □寄附 政治家は,多くの個人もしくは団体(法人とは限らない)から寄附を集めています。 その際,受け皿となるのが「資金管理団体」と呼ばれるもので,1人の議員につき1つの「資金管理団体」を持つことができます。昨年の政治資金規正法の改正で,団体から「資金管理団体」に対する寄附が禁止されることになりました(施行は今年4月から)。 その抜け道として指摘されているのが「政党支部」です。 これは,各政党が小選挙区毎や比例区,都道府県単位で設置している支部で,政治資金の受け皿とすることができます。 ここで,政治資金の流れのパターンを整理すると以下のようになります。 <個人が寄附者の場合> 個人→資金管理団体 年間150万円まで 個人→政党 個別制限なし <団体が寄附者の場合> 団体→資金管理団体 禁止 団体→政党 個別制限なし ※この他に「政治資金団体(政党の資金団体)」や「その他政治団体(後援会など)」も受け皿となることが可能ですが,紙面の都合でここでは省きます。 私の知っている限り,まだまだ日本では個人からの寄附というのは少ないのが現状です。会社などの団体からの寄附に頼っているケースが,やはり多いと言えます。 例えば,各政党の小選挙区支部というのは,各々の小選挙区の衆議院議員(現職)もしくは候補者が支部長に就任している場合がほとんどです。つまり,団体から「政党支部」への寄附は,ある意味で団体から政治家個人の「資金管理団体」への寄附と大差がないといえます。 □政治資金パーティー 政治資金パーティーとは「対価を徴収して行われる催し物のうち,その収入から経費を差し引いた残額を,開催者などの政治活動のために行うもの」のことです。簡単に言えば,利益が出るようなパーティーのことです。 例えば,100人しか出席しないパーティーの券を1000枚売って利益をあげるというようなことです。 これからは,団体から資金管理団体への寄附が禁止されたことを受けて,パーティー券を団体に購入してもらうケースがますます増えていくでしょう。 以上のように,政治家は寄附やパーティー収入によってその活動費用を捻出しています。ここでは,あまり具体的に触れられませんでしたので,もっと興味のある方は, 「代議士とカネ〜政治資金全国調査報告書」(佐々木毅,谷口将紀,吉田慎一,山本修嗣編著,朝日選書) を参照してください。なかなか参考になると思います。 また,政治資金規正法はかなり複雑な法律です。ここで触れたのはほんの一部ですので,関係者は解説書等を熟読されることをお勧めします。 (松井)
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