59号 第1会議室 (2000/04/17)up down
   ● 選挙期間中の苦悩の日々
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□選挙管理責任者の苦悩

 選対責任者として、真っ先に苦悩するのが自陣営の動きです。
 選挙ほど多くの人が関わるものはありませんから、よく動いてくれるところ反対に動きの鈍いところいろいろあります。そういった情報はすぐに入ってきますから、動いてくれるところは誉め、動きの悪いところには脅しすかし何でもありでとにかく動かすという陰の努力をしなければなりません。しかし、そういった活動を行うほど、実は人から嫌われるものです。

 次に,どうしても考えてしまうこと…それは公職選挙法の違反だと思います。

 たとえば事前広報用のビラが,公職選挙法に違反するような言葉を使用していないか?,またポスターの内容が公職選挙法に違反していないかどうかなど…。印刷に回す文面に対しては,気を配っても配り足りないくらいの配慮をして,考えて,それで印刷へのゴーサインを出されていると思います。

 もしも,その内容が公職選挙法に違反していたら…。

 当然,警察の選挙担当者から電話で連絡が来たり,実際に,担当者の方が事務所に出向いてこられたり,ということになります。「この責任者はいますかぁ?。」まずはここから,すべてが始まります。
 「今回警告するから,すべて回収してくれ」というやんわりとしたものから,「ちょっと署まで来てもらえるか」という厳しいものまで,それはいろいろな状況が考えられます。ですが,「現場がしたことで知らなかった」と言っても,やはり,それは責任者という立場上,逃れることは出来ません。

 選対の責任者が警察に呼ばれることは、現在の選挙法上では連座制に引っかかり最悪、当選取り消しのような事態になります。
 そこで、よくやる手としては、
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必要な手を打っていかなければならないのも責任者としての役目です。
 もしだれかが警察に呼ばれるようなことになれば、次の手としてはどの時点で警察の手を止めるかにかかってきます。その辺の見極めも行っていかなければなりません。



実際の例として,

・事前ビラ・リーフレットの内容が,公職選挙法にふれた。
  (次回○○議員選挙,○○区から出馬予定など)
・事務所の看板内容が規格に違反している。
・選管に届け出ていない事務所を,勝手に選挙事務所として使用した。
・未成年者を選挙運動員として,街宣活動で使用した。
・選挙運動員に対して,後援会の幹部がご飯をおごった。

 これらのことは,現場レベルでは,意外に簡単に行われているかもしれません。でも責任者である立場の人間は,「知らなかった,わからなかった,把握していなかった」では済まされません。


□大将・指揮官・参謀

 さて,選挙管理責任者や選対本部長の役割ですが,ここで「大将・指揮官・参謀」にわけて,お話しさせていただきます。

 選挙はよく「戦(いくさ)」に例えられることがあります。
 例えば,よく使う選挙用語を考えてみましょう。出陣,初陣,陣営,参謀など,これらは,戦でも使う言葉です。

 さてここで,候補者を大将にたとえるのなら,さしずめ選対本部長は指揮官,選挙管理責任者や選対幹部は参謀といったところでしょうか。このような分類で選挙をとらえてみましょう。

 大将は当然,陣営の旗頭として,かつぎ上げられます。
 指揮官は全体の統括を行います。
 参謀はそれぞれの持ち場を統括しながら指揮官の指示を部下に伝える役割を果たします。部下,選挙でいうところの運動員は,選対各部門の幹部の統括の元,徹底的に動き回ります。

 指揮官は進む方向を示し,参謀や運動員は,それに従って具体的な計画を立て,活動を行っていきます。
 全体的に目を光らせていないと,参謀や運動員が間違った知識で,間違った行動を起こすことがあります。指揮官である選対本部長は,参謀への徹底した指示を出しても,いざ具体的な活動となると,やはりうまくいかないことがよくあります。

 そこで,幹部会などを催し,選対本部長はそれぞれの指示のくわしい意志統一,モチベーションのアップなど,さまざまな教育・指示・伝達を行います。最終的に責任を負うのは,ここでは選対本部長になります。
 バラバラで活動している各部門間の連携をはかるためにも,選対本部長の役割は重要となってきます。


 ところが,選挙の責任者ということで,さまざまなクレームや苦情の処理にまわされることのほうが,むしろ多い。
 「街宣車がうるさい」とか,「ポスターの掲示場所を間違えて貼っているため,うちの陣営のポスターが貼れなかった,あやまれ」「選挙事務所前に路上駐車するな」「夜,事務所がうるさくて眠れない」などなど。

 こういうケースの場合,とりあえず先方さんは「責任者を出せ!」ということで,どうしても選挙対策本部長がかつぎだされ,平謝りに謝りまくっています。実際はこちらの方が,仕事としては多いのではないかと思うくらい,いろいろと謝ります。

 結局,選対本部長は,大将である候補者の次に,数多く頭を下げなければならないという皮肉な職業だったりします。とある陣営では選対本部長を「名誉職」と言っておりましたが。

 他の社会は別として,こうして見ると,選挙に限っては,選挙組織の上層部に行くほど,苦労をするという構造が見えてきます。
 出世するほど,損な役回り。これが,選挙管理責任者の一番の苦悩なのかもしれません。


鷲津


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