80号 第1会議室 (2000/09/18)up down
   ● 変わる参議院議員選挙〜非拘束名簿式の比例区選挙
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○変わる参議院議員選挙

 久世公尭 前金融再生委員長の辞任をきっかけに,参議院比例区の選挙制度見直し議論が,一気に噴出してきました。
 この秋の臨時国会で,おそらく法案は成立し,来年7月の参議院選挙から施行されることになるのはほぼ間違いない状況です。

 さて,今回の制度改正で何が変わるのか?。
 それは,比例区選挙での非拘束名簿の導入です。

 これまでの,参議院比例区選挙は「拘束名簿」と呼ばれ,事前に各政党および政治団体内での名簿の順位を決定した上で,選挙を行いました。
 有権者は,投票所で比例区用の投票用紙に「政党・政治団体名」を記入し,各政党・政治団体への投票数に応じて議席は配分され,各政党・政治団体の名簿上位者から議席が確定されて行きました。

 これに対して,「非拘束名簿」とは,あらかじめ名簿内の順位を決めず,候補者のリストだけを届出るものです。
 有権者は名簿に記載されている候補者個人の名前を記入することになります。ただし,今回の制度改正では,政党・政治団体名を記入することも認められそうです。
 そして,各比例区候補者の得票数によって名簿内の順位が決定され,議席が確定します。

 それでは,こうした「非拘束名簿」の導入はどのような影響をもたらすのでしょうか?


○非拘束名簿でどうなる?

Q1.
 順位は完全に個人名投票数順位のみで決めるの?

A1.
 そのとおりです。現行制度と違って,選挙前には当選順位を確定させず,選挙後の個人の獲得票数で順位を決めます。


Q2.
 誰が誰やらわからないほどの人数が出馬するのでは?

A2.
 おっしゃるとおり。単純に考えても全国で100人,200人は出馬します。どの方に投票するかは勝手ですが,まじめに選別しようとするのは至難の業ですね。


Q3.
 で,具体的になにがどのようによくなるの?
 それで何が変わるの?,何が劇的に改善されるの?

A3.
 政党の決めた名簿の順位ではなく,直接有権者の投票数で当選順位が決まるため,有権者の意に添った議員を選ぶことが出来ます。
 その反面,候補者がいわゆる「全国区」の規模になるため,誰を選べばよいのか逆に混乱するという見方もあります。



○居酒屋での会話〜参議院選挙改革を肴に


 つい先日,ある居酒屋での宴席で今回の参議院議員制度改革の話題が出ました。
 関係者が今回の改革をどう受けとめているか,なかなか「生」な声が聞けたので,以下再現してみたいと思います。

--------筆 者:
 今回,また急に非拘束名簿導入の話が出てきましたよね。今の感じでは,この秋の臨時国会で成立しそうですけど…

--------A秘書:某参議院議員(○○党比例区選出,来年改選)の秘書
 たいへんだよぉ。これまで,正直,うちの事務所は選挙活動をいい加減にしかやってなかったから…。
 ほとんど,「△△政治連盟(某有力業界団体)」が丸抱えでやってくれてたから。
 でも,今度は△△だけではどう考えても投票ラインにのらないんだよ。
 そこで急に,後援会入会のパンフレットをつくることになってっさ。

--------筆 者:
 どれくらいの数をつくるんですか?

--------A秘書:
 一応,50万部つくるつもりなんだけど。
 それで,△△の会員と全国中の知人に郵送。残りは,友好関係の諸団体にお願いして回る。
 これだけの作業で,2000万円以上かかるんじゃないかなぁ。選挙活動の前に,まずは金集めからはじめないとねぇ…。

--------B秘書:○○党某衆議院議員の秘書
 うちなんか,すごく選挙がやりにくくなるよねぇ。
 この間の総選挙では,Aさんところの△△にはとてもお世話になったし。本来なら,うちの後援会にもAさんところの先生の名前を書いてもらわないといけないんだけど…。
 その他,多くの団体が支持している候補者を「応援してくれ」っていう要請も来てるしなぁ。
 多分,うちの支援者には「○○党って書いてください」ってお願いするしかないんじゃないかな。

--------A秘書:
 そんなこと言わないでよ(笑)。

--------筆 者:
 ○○党では,某有名タレントを比例区候補者に出すって噂もありますよね。

--------A秘書:
 いやぁ,選挙で名前を書いてもらうためには,知名度がないとだめだからねぇ。そりゃ,党としては全体の得票数が伸びるしいいんだろうけど…。
 単なる,知名度だけでポンと一位になられると,僕らとしてはツライよねぇ。

--------B秘書:
 まあ,確かにAさんには悪いけど,これまで比例区選出の議員さんはこれまで以上に頑張るだろうから,党としての得票は増えるかもしれない。
 でも,活動しにくくなるような組織も多くなるだろうからなぁ。

--------A秘書:
 同じ党内で,派閥みたいなもんができるんじゃない。
 そしたら,こんな風にみんなで酒なんか飲んでられないかも。

--------一同:(笑)


松井


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