89号 第1会議室 (2000/11/20)up down
   ● 選挙コンサルタント
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 「選挙コンサルタント」というと何か聞こえがよいですが,一昔前までは「選挙ブローカー」「選挙ゴロ」などというような,選挙を食い物にして稼いでいる人を指す場合が多かったのではないでしょうか?。
 よく耳にするところでは,資金的に潤沢な事務所を見つけては「選挙をよく知っている」「選挙指導のアドバイスができる」などアピールし,事務所スタッフとして採用してもらい,「票をまとめるのに○○万円かかるので裏金を用意して欲しい」とか,「接待で金がかかるなどといっては○万円ほしい」などと,金銭的にたかるといった選挙コンサルタントと称する輩がいます。

 一方,アメリカには選挙コンサルタントが数多く存在し,たとえば広報戦略・広報資料作成などの,選挙広報のみを手がけるコンサルタントなどもいるという話も聞きます。
 スキャンダルに対してどう対応したらよいのか?,好感度をアップさせるための広報戦術は?,などに対して,的確なアドバイスをしているようです。


 さて,最近日本でも,本来の意味での「選挙コンサルタント」が増えてきているようです。インターネットの検索エンジンで調べてみると,選挙コンサルティングを手がけている団体や,個人で選挙コンサルタントをしている人もぼちぼち見受けられます。

 しかし,まだまだ日本では「選挙は自分自身の力でがんばっていくもので,金を出して選挙のプロなんかの意見を聞くものではない」という意見が多いようです。
 でも,実際のところは,選挙戦略・選挙戦術でどうしてもわからないことなどは,やはり人に聞くしかありません。後援会の中で選挙をよく知っている人に聞いたり,党やその他選挙を知っている議員さんに聞いたりするのでしょう。


 しかし,たとえば大学進学のための勉強でわからないことがあるときは,教育のプロである予備校の講師や家庭教師に聞くように,わからないことがあるときはお金を出してプロに教わるのは,当然のことのように思えます。そうはいっても,なかなか聞き難いのが実際のところだと思います。
 そこで今回は,どのような場面で選挙のコンサルタントを入れればよいか?,どのような場面で選挙のプロのアドバイスを受ければよいか?,などの簡単なサンプルとなるパターンをあげていきたいと思います。


■全くの選挙素人の陣営

 選挙に出馬の決意を固めた。
 でも選挙の「せ」の字も知らない。どうしよう?。

 このようなときだいたいの方々は,選挙関連の参考書を購入するか,もしくは選挙に携わったことのある人を見つけ,話を聞くのではないでしょうか?。

 そういう陣営に対しては,選挙コンサルタントは,次のようなプログラムを考えます。まず,

▼選挙とは?
▼公職選挙法のあらまし
▼立候補に必要な手続き
▼過去選挙の分析
▼選挙区の分析
▼後援会組織・応援組織について
▼戸別訪問・企業訪問
▼ひと・モノ・金の集め方

について,座学でお話をします。次いで,本人の意思や思いを聞き,

▼政策・公約の立案
▼広報資料作成
▼選挙戦略の立案

を行います。また,選挙戦術(戸別訪問・企業訪問・ポスター掲示・街宣活動など)についてのレクチャーを,候補者・運動員に行います。

 このプログラムの場合,初期段階でのレクチャーが極めて大きな比重を占めます。逆にいうと,重要度においても初期段階でのレクチャー大きく,選挙戦のすべてを決めます。 その後は,わからないことについて,質問/回答するという形のコンサルティング形態となります。

 ただこのような陣営の場合,選挙を仕切るリーダー役がいない場合が多いですから,常駐の選挙コンサルタントが必要となる場合が多いです。
 常駐でなければ,初期段階のコンサルのみで,そんなに費用はかからないのですが,常駐の人間をおくと,どうしても費用がかなりかかってしまいます。


■ある程度しか選挙がわからない陣営

 ある程度しか選挙がわからない陣営の場合,概して効果的な選挙戦術・選挙戦略が整っていない場合が多いですから,無駄のない選挙戦術の方法を担当責任者にレクチャーしたり,選挙戦略の見直しの助言・立案をおこなうことによって,より効果的な選挙が戦えるように仕立てていきます。

▼さらに効果的な選挙戦術のレクチャー
▼選挙戦略の見直しの助言・見直し案の立案
▼さらにこまかな選挙知識の再講習(違反など)

 また第三者的な観点から広報資料の出来不出来を観察したり,客観的に見た陣営の有利・不利などを,候補者・選対幹部にアドバイスしたりします。

 この場合の選挙コンサルティングで,一番重要なポイントとなるのが,選挙情報管理です。
 新規に増やした名簿の精査ができていなかったり,候補者が声をかけられる先のリストアップが不十分だったりと,根幹の情報から崩れていってしまう場合が多いです。この取りこぼしは,あとの選挙戦で大きく響いてきます。
 取りこぼしをなるべく少なくするべく,定期的な(月1〜2回)コンサルティングをおこないます。定期的に検診のような感じで見ていけば,しっかりと票を積み上げていくことが可能となります。


■選挙はわかっているが効果的な戦略が打てない陣営

 ここが,コンサルタントの腕の見せ所となってきます。
 なぜ効果的でなかったのか?,といった過去の分析からまずは効果的な戦略を立案していきますが,正攻法の方策は,大体,他陣営でも実施されているのが普通です。
 広報資料のイメージングを更に見直していったり,しゃべる言葉を煮詰めていったり,候補者のイメージを変えていくなどは,通常の範囲で考えられることでしょう。

 このような陣営に対するアドバイスとしては,まず「敵」を知るというところから始めます。「敵」はどのような陣容で選挙にのぞんでいるのか?,敵陣営を構成している支持母体はどこなのか?,敵の主力となる大票田はどこなのか?,などあらゆる角度から分析を行います。

▼広報資料の再検討
▼候補者イメージアップ作戦
▼大票田切り崩し方法の立案
 ・大票田の核となるメンバーの取り込みを画策する。
 ・大票田を中心に広報ビラをばらまく。街頭演説にたつ。
 ・大票田に対して,敵の弱点を批判する文書をまく。
 ・大票田に事務所をかまえる。
▼支持母体の切り崩し方法の立案
▼敵陣営にスパイを送り込み,支持者の寝返りを促す誹謗中傷をさせる。

 効果的な戦略が打てない=敵陣営を切り崩す,のではありませんが,一般例としてはこのようなポイントを押さえていない場合があります。

 しかし,効果的な戦略が打てないというのは幅広く,それぞれの地域にあった悩み,例えば,落下傘候補で地元出身の他候補に及ばないとか,候補者が二世のために恒常的な選挙戦術しかとれないなど,さまざまに考えられます。

 こういう時こそ,コンサルタントの腕の見せ所となります。
 アンケート戦術・物量戦術・ローラー戦術など多様な戦術をうまく適用させながら,効果的な戦略の立案を行います。

 この場合は当然のことですが,立案部分に関する費用がかなり発生します。
 ですが,立案時点で報酬の半分,当選後に半分,などといった形で頂く場合もありますが,さてさて効果のほどは如何でしょうか…。


鷲津


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