第94号 第1会議室 | (2000/12/25)![]() ![]() |
● 続・派閥政治 ● |
「バーチャル選対」第90号で,「派閥政治とは何ぞや」と題して,派閥政治の仕組みや背景を追い,そして野党が不信任案を提出した際の加藤紘一氏の行動についてのアンケートを掲載しました。 今回はそのアンケート結果から,加藤政局について,派閥政治について,探ってみました。 アンケート内容 ■Q1. 今回の加藤紘一氏のとった行動は, A 最悪。単なる茶番劇。政治嫌いを助長することになった。政治家をやめるべき。 →35% B 欠席は仕方のない部分もあるが,このような結果になるのなら何もしない方が良かった。 →22% C 結果はわからないが,少なくとも加藤の政治生命は終わった。 →4% D 本会議には出席すべきだったが,自民党のゴタゴタ劇もみえたので一定の評価は出来る。 →26% E 欠席したほうが良かった。国民へのアピールは十分出来たし,関心も高まった。 →0% F 今のところはまだわからない。 →0% G その他 →13% 【結果】 最も票が集まったのはAの「最悪」。 加藤氏の取った行動はマイナスであると感じている人は過半数になりました。しかし,3割の人は,今回の本会議欠席が意味のあるものであったと思ってます。 【皆さんからの意見】 「加藤氏にははなから期待していなかったため,まわりが騒ぐのが不思議で仕方なかった」 「加藤氏の行動によって国民的議論にまで発展したのは少なくとも成功と言えるのではないだろうか」 結果から見て,加藤氏の本会議を欠席したという行動は,擁護論と批判論の二つに割れていると言えます。 ■Q2. 一連の騒動は野党にとっては, A 100%プラス。不信任案が可決されなくても,次の選挙で政権での政権交代の布石が出来た。 →29% B メリットは大きい。不信任案が可決されればもっと良かった。 →24% C あまり変わらない。 →29% D マイナス。可決されなかったことで自民党は再び安定化へ向かう。 →5% E 大きくマイナス。結局政権は自民党でなければ担えないことがわかり,野党の支持率は下がり,自民党の支持率はあがる。 →5% F その他 →10% 【結果】 野党にとってプラスに働くとする人が合わせて53%に上り,やはり,「自民党の身内のゴタゴタ→野党への期待」という皆さんの思いが感じられます。ただし,この件に関して野党はかやの外で,何ら変わりがないと答えた人も3割おります。 【皆さんの意見】 「自民党のイメージが下がったことは確かだが,かといって他の政党のイメージがあがったかというと,そうでもない。今後の野党(特に民主党)の頑張りにかかっているように思う。政権をになえる能力があるのかをこれからも見続けて行きたい」 「野党も自民党の足を引っ張る作戦ではなく,もっと正論でぶつかるべき。相手の様子を見ながらではなく,自分たちがどうしていくのかいまいち見えないのは残念」 「結局,野党も不信任案を可決させるだけのリーダーシップはない」 野党にとってメリットが大きいと答えた人が多かった反面,そのことに関してのコメントは少なく,逆に野党に物足りなさを感じている人からの意見が多かったように感じます。 ■Q3. 現時点(自民党政権下)で次期首相になりそうな人は誰? A 小泉純一郎 →39% B 森喜朗 →4% C 加藤紘一 →0% D 河野洋平 →39% E 田中真紀子 →0% F 野中広務 →3% G その他(わからない,誰がやっても一緒) →13% 【結果】 アンケート上での次期総裁選レースは,小泉氏と河野氏が同数という結果になりました。 【意見】 小泉純一郎 「消去法でこの人になる。国民からの反応も考え,そして実現可能性も考慮すると,次の選挙の顔として自民党が考えそうな人はこの人」 ■Q4. 現時点(自民党政権下)で理想の首相は誰? A 小泉純一郎 →24% B 森喜朗 →0% C 加藤紘一 →10% D 河野洋平 →0% E 田中真紀子 →19% F 野中広務 →9% G その他 橋本龍太郎,高村 →5% いない →25% 誰がやっても一緒 →3% 【結果】 驚くことに,Q3でトップだった河野氏には1票も入っていません。これどういう意味なのか・・・ また,加藤氏にも1割の人が票を入れています。 【意見】 ■Q5. 今回のことで最も得した人,損した人は? 得した人・・・ 野中弘務 →29% 「今回敗北していれば,彼の神通力も消えうせ,その後の彼の政治権力はもはや失われる事になっていただろう。事実今でもその力は激しく衰えている」 小泉純一郎 →11%「主流派だけれど,もとのイメージがいいからダメージはまったくない」 加藤紘一 →10%「現在のところ反対に見えるが少なくとも加藤さんの支持は広がっていると思う」 野党 →10% いない →24% その他(森喜朗,河野洋平,池田行彦,鳩山由紀夫など) 【結果】 誰もが後ろで糸を操っていると思っている野中氏。今回もいかんなくその力を発揮したということなのでしょうか? 損した人・・・ 加藤紘一 →40% 国民 →12%「政治家の誰が損をしようが,それは全くどうでもいいこと。唯一損をしたのは国民」 森喜朗 →11% 松浪健四郎 →8% 自民党 →8% その他(国会職員,鳩山由紀夫,山崎拓など) 【結果】 やはり国民という答えが多かったです。国会を運営しているのは私たちの税金なのですから,当然のことではありますが。 ■Q6.派閥政治は必要ですか?(理由も) いくつかの意見を抜粋します ・派閥必要派 「自民党が政権を担当しつづけるためには必要」 「政治家というのは,己の利権のみを考えている人が大半であると思うその様な人をまとめていく上で,若しくは統一の見解を示す上ではやむを得ない」 「派閥があることによって政治の流れが見える気がするし,○○派と○○派が対立しているとか,今回のような加藤氏の行動によって,党内の関係や,民主党などの野党との関係もわかるから。まぁ,表面上にはわからなくても,立場が強い人が出てくれば,それを支える人やついて行く人がいるだろうから,派閥のような組織はできるはずだと思う。」 ・派閥廃止派 「民意が反映されにくくなるので,無くなるべき」 「政治が硬直化し,状況の変化に対応できなくなるから」 「国会議員は憲法で『全国民の代表』であって,それ以上でも以下でもない。全国民の代表として立法に参加するべきであって,議員は派閥の利害・考えに行動が拘束されるべきではない」 「今回のような結末になるのであればいらない。有権者が,一定の変化を望んでいるときに,これを助ける方向に動かないのであれば,派閥(党)として,政策集団としての価値があるのかないのか判断しかねる。なにか重大な意図があって,森首相の信任に動く派閥が必要だ。」 「利権の分配が第一で,野合や族議員が溢れるからいらない。旧田中派における総合病院のような専門家集団なら,賛成できる。そもそも政治に金がかかりすぎるのが問題だ。派閥政治によって,何より国会での言葉が失われる。政治とは生活である」 ・その他 「会社でも3人集まれば派閥が出来るので,仕方ない。しかしIT社会に完全に移行したら(あと6年後位か),なくなっていると思う」 「悪でも無くならないと思う」 「自民党の派閥政治が繰り返してきた『擬似政権交代』。今また,その一片を見かけた気がする。本当の政権交代はいつでしょう?」 【結果】 やはり派閥は必要ないという人のほうが圧倒的に多いという結果が出ました。 この問題に関して,結論はなかなか出ないと思いますが,自分の考えとは反対派にある意見 ■Q7.感じることを簡潔にどうぞ 「加藤批判をしている場合ではない。それは国民を更に政治からひかせる結果になる。加藤批判を一般有権者に向けている政治家の姿こそ私はセンスを疑う」 「ほんとにあほらしくてあきれ果ててしまいます。それでも私は政治はおもしろいと思ってるんですけどねえ」 「今回のは完全に肩透かしを食ったようなものだ。あれだけ盛り上がっていたのに,加藤さんの読みの甘さがこんな茶番を引き起こした。元々加藤さんに期待した我々がバカだったのかもしれない。加藤さんはもうこれで首相にはなれないでしょうね」 「社会を変えたいと思っている人はたくさんいます。もちろんその方法論は様々ですが,私は宗教活動や文筆活動や市民活動や音楽活動その他では社会を変えることはできないと思っています。社会を変えるには政治の力が必要で,すなわち政治家だけが社会を変えることができると思っています」 「マスコミは結局政局報道でしかなかった。長期的視野にたった政策報道を望む」 【結果】 皆さん大変熱い意見を頂きました。私も非常に勉強になります。 ------------------------------------------------------------ アンケート結果を見て,いかがでしたでしょうか? 派閥に関して,大変多くの意見を頂きまして,誠にありがとうございました。数多くの意見はありますが,ひとつの事実として,派閥がこれまでの自民党政権の柱にありました。今後,政局がどのように変わっていくのかは不透明ですが,大切なのは国民のためになっている制度かどうか。私に有益に働いているのならば,継続していくべきですし,改善の余地があるのならば派閥政治が生き残るために制度を変えていけば良いですし,この制度が続いていく以上は私たちの生活の改善につながらないのでしたら,廃止するべきだと思います。 非常に単純なことだとは思いますが,今このように「国民」のことを考えている政治家は何人いるのでしょうか? (緒方)
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