101号 第1会議室 (2001/02/19)up down
   ● 予備選挙のススメ
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 そろそろ参議院選挙の候補者が出そろってきた頃だと思います。ただ,近頃の国会の紛糾の影響であまり表に出てこないようですが,着実に選挙に向けた活動がなされているようです。
 ところで,有権者の方々は首長,議員を選びますが,その前段階として「候補者はどのようにして選ばれてくるのか?」ということを,考えたことはあるでしょうか?。そのあたりの事情を探ってみましょう。


□候補者の候補者?

 政治家は,子供が将来なりたくない職業第1位らしいですが,意外と虎視眈々とその地位をねらっている人はいるものです。
 ただ単に自力で出馬するという例でなら,町村議会選挙ぐらいのクラスであれば勝手に出てくることもあることはありますし,”各地に出没する”かの秀吉さんのような人もいます。
 一方,今回の参議院選挙のような規模では,政党が選抜する例がほとんどですが,やはり1人2人に絞りきれない選挙区というものは各地にあるといえばあります。あと半年足らずで選挙だというのに,各政党での候補者調整のもめ事のネタには,事欠きません。

 では,その候補者調整ですが,某政党に限らず,意外と公平な基準で決められる例は,少ない,見方によっては無いに等しい,ともいえます。
 その実態はといえば,政党間協力の”とばっちり”を受けて,本当は候補者になるはずだったのが,党執行部の意向で引きずりおろされたり,パッと出の新人vs引退勧告を受けたベテラン議員で揉めて,結局鶴の一声がかかったり,といったような聞けば聞くほどあきれる話がごろごろと転がっています。

 某首相が密室で数人により選ばれて「これが日本の政治だ」と言わんばかりの報道をされたこともありましたが,実際のところ,候補者の選抜に関してはもっと少なく,わずか1人の意志決定でなされることもあります。


□アメリカの予備選挙

 一方,これらの話とは対照的に,公平な基準で候補者を選択すると言えば,アメリカの予備選挙の話が出てきます。
 これは,大統領選の前に,各政党の候補者を決定するためにする党内の選挙ですが,スケールが半端ではなく大きいので,”予備”なのに世界中のマスコミが取材攻勢をかけるほどの注目を浴び,またそれほどの重要性を持っています。

 よくよく考えてみれば,2つの巨大政党に,あれだけの多くの有権者を抱えていれば,当然1人の候補者を日本のように話し合いで調整するはずもいかず,ある一定の基準の下に統一候補を決めるしかありません。
 ある意味,当然の流れともいえるのですが,結果的に候補者選択の透明性が保たれることになっています。

 しかも,予備選挙にはおまけがあり,政党の結束固めも兼ねています。
 一見すると,別々の党内候補者を支持しているのだから,分裂してしまいそうな気がしますが,きちんとプロセスの透明性が保たれている以上,党内候補者の決定には党員の方々はそれなりに納得しているようです。
 逆に,選挙という一大イベントを設けることで,党員の注目を政党に向けさせ,各種メディアを重ね合わせて,相乗的に政党の印象を強く有権者に与える効果を発揮しています。


□予備選挙を阻む政党の壁

 今年のはじめに,実は自民党から新潟選挙区の候補者調整に,予備選挙による決着を検討するという提案がなされました。
 結局,この話はダメになってしまったのですが,こういう特殊な状況ばかりではなく,政党内候補者の決定には,無投票当選もありで予備選挙をやってみたらいいのに,と思うのですが,どうも話はそう簡単ではないようです。

 まず,政党の理由として「金がない」というのがあるでしょう。
 有権者への告知,公正さの確保のための投票監視体制,その他,党内とはいえ選挙をすれば,それなりの金はかかります。アメリカの場合は,国からの助成金が出ており,それであの派手な活動となっています。
 でも,よくよく考えてみれば,党員の結束固めができるのならば,そこから党費の収入が上がるわけで,そのあたりの効果もきちんと見積もれると負担はそれほど大きくないような気がします。

 他には,党が「分裂する」というもの。
 確かに,日本の”昔からの”政党支持者は,政党を支持しているわけではなく,候補者を支持している場合が多いので,一理はあります。
 ただ,最近の無党派層の増加は,”今時の”中途半端な政党支持者を多く作り出しており,これらの人々は候補者の政策もわからず,顔つきに投票するという,昔からの政党支持者とは一線を画す傾向があります。これらの人々にしてみれば,人知れず,裏でこそこそ候補者を決める方が,よほど支持を失いそうに思いますが。


 その他,利権を失う人の抵抗等,いろいろ問題はあるのだと思いますが,一般の有権者側からしてみれば,それほど抵抗する理由がありません。
 公的な選挙でもないので,電子投票だろうが,コンビニ投票だろうが,不正のない限りは何でもありですし,自分の手で政治家を選ぶための手段が増えるということは,何よりも大きい前進だと思います。

 そのためには,まず政党が動かなければなりませんし,政党体質を180度転換しなければならないでしょう。これは大きな壁となるでしょうが,結果として政党の利益となりうることを考えると,決して悪い選択ではないと思います。

 各政党の執行部のみなさん,いかがでしょう?。


中沢


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