109号 第1会議室 (2001/04/16)up down
   ● 利益団体と政治
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□利益団体と政治

 世の中には,本当に色々な団体があるものです。電話帳を少し繰ってみても,「○○協同組合」とか「△△振興会」とか「××協会」などなど,すぐにでも見つけることができるでしょう。
 さて,こうした各種団体は大規模なものから小規模なもの,活動的なものから形だけのもの様々です。

 そして,こうした団体の中には選挙や政治といった世界と関係の深いものもたくさんあります(もちろんまったく無関係な団体も数多くあります)。
 当初から政治的な意味合いで結成された団体もあれば,まったく別の趣旨によって結成された団体が,その活動の一連として政治や選挙に携わるものもあります。

 こうした団体はどのように選挙に携わるのでしょうか?

 具体的な例をいくつかあげると,
・団体主催の会合やパーティーに政治家を招き紹介する。
・資金を提供する。
・選挙活動に対してマン・パワーを提供する。
・推薦等を通じて会員に対して支援要請をする。
・名簿を提供する。
などなど,政治活動や選挙活動に対して様々な協力を行います。

 では,なぜこうした各種団体が政治に対して携わるのでしょうか?。
 その答えは,「政治を通じて自らの団体の利益を実現するため」と言えるのではないでしょうか。
 政治学の世界ではこうした政治を通じて自らの利益を実現するような団体を「利益団体」と呼び,様々な政治現象や政策の決定過程を説明する重要なファクターとして取り上げられてきました。


□利益団体は「悪」なのか?

 利益団体と政治家いうと一般の方々は,「何か悪いことをしてそう」というイメージを持たれるかもしれません。
 ここで,二つの例え話をあげて見たいと思います。

 (1)「○○中小企業育成会」は全国的な組織で,日本全国に10万人以上の会員を擁する大きな団体です。この会では日ごろから,これからの中小企業の経営を担う若い人材が不足していることに懸念をいだき,国に対してそうした若い人材を育てるために,是非とも「人材育成大学」を設置するよう求めてきました。

 しかしながら,なかなか国はそのような主張を取り上げてくれません。
 そんな時,これまで色々と相談にのり,この会の主張に賛同してくれていた中央官僚のAさんが,次の参議院選挙に○○党の比例区から出馬することになりました。そこで,この会はAさんを選挙で勝たせるために,選挙活動だけでなく資金面でもかなりの協力をしました。
 結果,Aさんは見事当選。そして,Aさんは日頃から主張していた「人材育成大学」の設置のために奔走。無事,この会の主張していた政策が実現される運びとなりました。


(2)「△△ダムの建設に反対する会」はボランティアで結成された小さな団体です。この会では,日頃から国が推進していた「△△ダム」の建設は,周辺の環境に対して悪影響を及ぼすとの理由から,ダム建設反対を主張してきました。

 しかしながら,なかなか国はそのような主張を取り上げてくれません。
 そこで,この会では次の衆議院議員選挙に,この会のメンバーであるBさんを新人候補として擁立することにしました。そして,この会が中心となって選挙活動を展開したところ,有権者の圧倒的支持を受けて,見事Bさんは当選。
 Bさんは,△△ダム建設反対のために奔走。無事,このダム建設は中止となり,この会が主張していた政策が実現する運びとなりました。


 これら二つの話,実際にありそうな話ですし,どこかで聞いたような話です。

 さて,これらの二つの団体と政治とのかかわりを皆さんはどのように受け止められるでしょうか?


 多分,多くの方は(1)の団体に対しては,これまでの政権与党といわゆる業界団体との癒着構造であり,否定的なイメージを抱かれるのではないでしょうか?。これに対して,(2)の団体に対しては,肯定的なイメージを持たれるのではないでしょうか?。

 実際には,(1)の団体の活動も(2)の団体の活動も「団体が政治に対して積極的に関与することによって政策実現をはかった」という構造は同じです。

 このように,各種の団体が政治と関わることによって自らの主張・政策を実現することは,極めて健全なことです。
 むしろ,極端な言い方をすれば,その主張・政策が政治を通じて実現する必要が生じるような場合,政治に対して積極的に関与する団体こそ,真剣に活動している団体といえるのではないでしょうか?。

 たしかに,団体と政治・選挙の関わりが,癒着構造を生み出し利権の奪い合いになっている側面があることは否めません。だからといって団体と政治・選挙が深く関わることは,すべて否定的なものというわけではありません。

 大切なことは,政治の側,団体の側,両者がどのようなスタンスで関係を持つか。そこの透明性があるかどうかという点ではないでしょうか?。


松井


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