第128号 第1会議室 | (2001/08/27)![]() ![]() |
● 近頃の選挙違反 ● |
□古典的な選挙違反 選挙違反と言えば,「買収」が一番頭に描きやすいことだと思います。確かに,有権者へお金を配ることで一票を確保するという「買収」は選挙違反の中でももっともポピュラーであったと言えます。 近年でも,買収で警察にご用になる方が後を絶たずに出ています。でも実際には,これは氷山の一角であるかもしれません。 例えば,地方議員に対して票のとりまとめをお願いして,買収の罪に問われた候補者というのは,毎度のことながら国政選挙では新聞紙上をにぎわします。 国政に出ようとする候補者が自分を応援してくれる地方議員さんに対して,お金を全く払わないかと言えば,実はそうではありません。名目はいろいろあるでしょうが,多くは活動費として,いわゆる交通費や食費といった意味で支払われている場合がたくさんあります。 読者の中には,選挙の時にその候補者からお金をもらうことはいけないことだと思われる方もいらっしゃるかと思います。 しかし実際には必要経費,つまり地方議員が自らの後援会報を臨時に発行する場合,または電話作戦を地方議員の自宅から行った場合など,が発生してきます。それらにそのお金を充当するということが行われています。しかし必要経費として各議員が支出している額と同額か,少ないというのがほとんどのところです。 では,どこで違反とそうでないかを分けるのでしょうか。 この場合,明らかに ●あとは購読者のみのお楽しみ●
のことを言うようです。 さて,買収の次に多いのが,「饗応」と言われるモノです。簡単に言ってしまえば,「飲ませ,食わせ」となるでしょう。これも古典的な選挙違反です。 この「飲ませ,食わせ」とは,いったいどのようなモノがあるのかというと,簡単なのはご飯をごちそうすることです。高々ご飯ぐらいという認識が,警察に隙を見せることになっています。 例えば,年上の者が年下や後輩たちと食事をした場合に,割り勘ではなく少し多めに払うというのはありがちです。 こういったように,社会通念上,グループの中で年長の者が,わずかながらでも割り増しで支払うことについてまでは警察はとやかく言うわけではありません。この辺の金額の判断は非常に難しいので,あまり過信して行わないで下さい。 しかし,同年代や明らかに接待とわかるような場合に,その食費の全額,もしくはほとんど全額近くを支払うというのは,饗応にあたるということです。つまり,食事を提供して,投票を依頼するということになります。 その場合,たとえ居酒屋で飲食していて,一人当たり5千円程度を「おごった」としても,会話の中に投票依頼が含まれていると判断された場合には,饗応に当たると判断されかねませんので,十分に注意しましょう。 □近頃多く見られる違反 「買収」「饗応」といった古典的な選挙違反もありますが,近年明らかに増加傾向にあるのは,「ボランティア選挙の事後買収」です。 これは「買収」の一つですが,古典的な買収ではなく, ●あとは購読者のみのお楽しみ●
という場合です。 最近は特に学生がボランティアとして選挙に関わるようになってきました。少し前までですと,学生はバイトとして雇うけれども,あくまでも事務作業を手伝うのみというような使い方でした。しかし選挙スタイルの変化が,学生を運動員登録もせずに街頭活動などで使う場合が多いようです(※選挙期間中の運動員は選管に届け出が必要です)。 本来,ボランティアであれば選対と切り離して,勝手連として活動資金も別個にすれば大きな問題にはなりませんが, ●あとは購読者のみのお楽しみ●
ということになっているのであれば,「事後買収」となってしまうということです。 近頃は,これによる選挙違反が後を絶たないようです。 □対応策 近頃の「事後買収」を防ぐには,まず選対の方針としてボランティアに対して,お金を支払うのかどうかを決定しなければなりません。 ・お金を支払う場合 選挙の届け出の際にボランティアを運動員登録をすることが第一条件です。 しかし,多くの場合がどれだけ来るのかわからないということが多いです。後から後からボランティアが来るということがあるでしょう。その場合には,運動員登録が間に合いませんので,必ず管理をする者を置くようにしましょう。 そして選挙運動ができる人間と,できない人間の区別をしっかりとつけることが重要です。 ・支払わない場合 明らかに人目に付くところに ●あとは購読者のみのお楽しみ●
お金がないからボランティアに頼ろうではなく,その危険性も十分に認識した上で判断をすることがこれからの選挙には必要になってきます。 (吉田)
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