129号 第1会議室 (2001/09/03)up down
   ● 公務員が注意しなければいけない選挙運動Q&A
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 参院選が終わってから1ヶ月が過ぎました。しかし,いまだに選挙違反による逮捕者が報道されています。その中でも,京都,大阪の公務員の地位を利用した票の取りまとめでは,現在10人以上の逮捕者が出ています。
 この事件,根本的に何が問題かと言うと,「政治的に中立でなければならない公務員が,その地位を利用して票の取りまとめを行なった」ことです。

 では,公務員とは選挙の際,何に気をつけなければならないのか,どこまでの選挙応援が可能なのかを,恒例のQ&Aでお伝えしていきます。


Q1.今回の参院選で起きている公務員による選挙違反は具体的にはどのようなもの?

A1.元○○局長だった候補者の支援のために,後援会に部下の公務員を勧誘したとして,公選法違反(公務員の地位利用)の疑いで幹部やキャリアの局長クラスが相次いで逮捕されている。
 例えば,○○会議では,幹部公務員約100名に後援会への入会を勧誘したほか,勧誘活動を指示。その指示を受け,それら公務員が自分たちの部下に「口頭で」,支援を申し合わせるなどもした(笑)。


●以下の公務員による活動は選挙違反?

Q2.親戚が立候補したため,選挙中に選挙区にいる知人に電話をして投票のお願いをした。

Q3.候補者が乗っている車が通ったため,手を振って,候補者と握手もした。

Q4.選挙中,投票のお願いの電話がかかってきたので,「もちろん入れますよ」と答えた。

Q5.自分が公務員で選挙活動ができないことを知っているので,民間会社に勤める弟の名前を使って,自分の支持する候補者のビラを作成し,後援会の会報誌として発行した。

Q6.父親が立候補したので,公務員としてではなく一個人として選対に入って陣頭指揮を取った。

Q7.公立学校の職員会議で校長先生が自分の知り合いが立候補していることを「紹介」した。

Q8.休日に隣のおじさんと一緒に後援会ニュースのびら撒きをした。

Q9.個人的に特定の候補者に資金カンパをした。

Q10.自分の投票の参考にするため,全ての候補者の個人演説会に参加した。

--------------------------(参考)------------------------
公職選挙法第136条の2 (公務員等の地位利用による選挙運動の禁止)
 次の各号の一に該当する者は,その地位を利用して選挙運動をすることができない。

1.国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人の役員若しくは職員

(公務員の活動における禁止行為)
1.その地位を利用して,公職の候補者の推薦に関与し,若しくは関与することを援助し,又は他人をしてこれらの行為をさせること。

2.その地位を利用して,投票の周旋勧誘,演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し,その企画の実施について指示し,若しくは指導し,又は他人をしてこれらの行為をさせること。

3.その地位を利用して,第199条の5(後援団体に関する寄附行為の禁止)第1項に規定する後援団体を結成し,その結成の準備に関与し,同項に規定する後援団体の構成員となることを勧誘し,若しくはこれらの行為を援助し,又は他人をしてこれらの行為をさせること。

4.その地位を利用して,新聞その他の刊行物を発行し,文書図画を掲示し,若しくは頒布し,若しくはこれらの行為を援助し,又は他人をしてこれらの行為をさせること。

5.公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し,支持し,若しくはこれに反対することを申しいで,又は約束した者に対し,その代価として,その職務の執行に当たり,当該申しいで,又は約束した者に係る利益を供与し,又は供与することを約束すること。

(教育者の地位利用の選挙運動の禁止)
第137条  教育者(学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校の長及び教員をいう。)は,学校の児童,生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。
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A2.違反です。136条2項2「その地位を利用して,投票の周旋勧誘・・・してはいけない」に抵触します。知人に電話した時点で電話をかけているのが公務員ということがわかっています。

●あとは購読者のみのお楽しみ●

になります。
 
A3.違反ではありません。握手をしただけでは投票依頼にも,投票誘導にもなりません。

A4.違反ではありません。電話に答えることは,投票誘導にはなりません。

A5.違反です。人事院規則第6号第7項及び第13項
●あとは購読者のみのお楽しみ●

です。

A6.違反です。
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(参照:人事院規則第6条第8項)

A7.違反です。学校における児童・生徒及び保護者に対する面接指導,もしくは職員会議の際,自分の支持する政党や候補者の名を挙げることだけで,選挙活動と取られます。(参照:人事院規則第6条第1項)

A8.違反です。公選法による選挙運動の禁止は,「公務員」として規制を受けているため,その身分を有する限り,勤務時間外であっても,休日であっても適用されます。

A9.違反ではありません。人事院規則
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個人的にカンパすることは問題ありません。

A10.違反ではありません。一有権者としての行動,つまり他の人の投票誘導にはなりません。

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 いかがでしたでしょうか?。一言言うならば,これまでの事柄は全て「バレれば」違反になります。つまり,「バレなければ」違反になりません。
 もし,読者の中に公務員の方がいらっしゃるならば,あなたやあなたの周りの公務員の中には,日常的に違反行為を行なっていて,全く捕まっていないので,気にし過ぎでは,と思われるかもしれません。しかし,先週と同じく,
       「警察をあなどる事勿れ」
警察は甘くありません。今回はたまたま捕まらなかったとしても,いずれそのツケが回ってくると思っていたほうが良いでしょう。

 とにかく,お気をつけ下さい。

緒方


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