136号 第1会議室 (2001/10/22)up down
   ● 電子メールを利用した選挙戦(2)
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 前回(第132号)では『電子メールを利用した選挙戦(1)』として,2つの利用法についてお話ししました。
 今回はその2回目として,『法的な問題点』を中心に見ていきたいと思います。
 法的な問題点として考えられるのは「文書違反」が中心であると思います。しかし,例えば携帯メールへ無差別に送信する迷惑メールのように,もしも選挙戦に数十万,時きには数百万のメールアドレスに無差別に送信することは,また別の法的な問題点を含むと考えられます。

 今回は,公職選挙法などの法的な問題点に関してだけではなく,このようないろいろな問題点も考えていきたいと思います。


□前回のおさらい

 前回,メールアドレスをこちらで把握している人に対するメールでの情報発信として,ランクをABCDに分け,そしてランクごとにメールを変えるというお話をしました。
 また選挙戦中にもメールを送信することで,リアルタイムでの情報伝達が可能というお話もしました。

 まずはこの2つについて問題点を考えていきたいと思います。


□メリット・デメリット

 文書を郵送する場合とメールで出す場合には,内容に大きな差異があります。

 文書を郵送する場合には,たとえば選挙期間中には法的に定められた書式のはがきを,定められた枚数分,郵送してよいなどとなっております。また選挙開始前には,後援会の名で文書を郵送したり配布したりすることなどが一般的に行なわれています。
 しかし,いわゆる「選挙の名前を出して,候補者の名前を言って,投票依頼をした」場合,明らかに選挙違反となります。
 しかし,文書をメールで出す場合には,このことが適用されるのかどうかすら,現在のところ,まだ法令として,明文化されていません。

 さて,文書を郵送するというのは,今までの手法ですので,メリットやデメリットはある程度考えやすいと思います。それに対してメールは,新しい手法ですので,ここであらためて文書を郵送する場合と比較してのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。


 ◆文書のメール送信のメリット
  
  ▼送料について
   ・紙代
   ・紙の印刷代
   ・封書代
   ・郵送代
     がかからないので,費用が軽減される。

  ▼準備時間について
   ・文書レイアウト
   ・装飾
     が必要ない(テキストメールでの送信)

  ▼手間について
   ・紙を折る
   ・封書に封入
   ・住所宛名書き(もしくはシール貼り)
   ・

  ▼送信について
   ・簡単に送信が可能
   ・短期間に何度も送信できる

  ▼配達について
   ・文書の郵送と比べると,明らかに早く届く

  ▼その他
   ・紙資源を使わないため,自然に優しい
   ・イベント告知・新聞掲載などの情報が,すばやく伝達可能


 ◆文書のメール送信のデメリット

  ▼費用関連
   ・受け取る側も費用がかからないということを知っている
    ので軽く扱われがち。

  ▼送信について
   ・何度も送りつけられることが,迷惑メール化につながる
   ・メールを持っていない方には送信できない

  ▼装飾について
   ・文書レイアウト
   ・装飾
     がほとんどできない

 いろいろメリット・デメリットが考えられますが,考えついたメリット・デメリットはこれからの時代のノウハウになりますので,読者の方で思いついた方は,じっくりと暖めてみてはいかがでしょうか。


□法的問題

 さて,法的な問題点を考えてみたいと思います。

 法的な問題点としては,まず文書の内容があげられます。
 選挙が始まる以前に,「選挙の名前を出して,候補者の名前を言って,投票依頼をした」内容であった場合には,当然選挙違反となるのでしょう。ネット裁判関係でもメールが証拠となっている判決も出ていますので,送信したメールが証拠となって,選挙違反となる可能性は十分に考えられます。

 次に送信方法ですが,直接聞いたりまた名刺に刷っていたりで,メールアドレスを入手することが可能です。また名簿屋さんから住所・氏名を買い付けるのと同じように,メールアドレスを売買しているアドレス屋さんも存在します。そこから買い付けてもアドレスを入手することは可能です。

 メールは送信に費用や手間がかからない分,簡単に大勢に送信することが可能です。アドレスを手に入れれば入れるほど,多くの人に文書を送信することが可能です。こうなってくると,全住居のポストにパンフレットを配布しているのと,なんらかわりがありません。
 現在,紙文書でのパンフレットを配布することに内容的な制限がついています。となると,将来的には,無差別のメールに関しては制限が付くのではないかとも考えられます。


□まとめ

 さて,今回は問題点やメリットなどを見てきました。メールを紙文書と同じように扱い,同じような制限をかけていくのでは,せっかくのメールのメリット・デメリットが生かせないような気がします。
 たとえば,選挙はがきでの配布には制限があるが,紙資源をつかわないメールの配布には制限をつけないようにすることで,地球資源の有効活用をするなど,考えることもできます。

 次回は,総合的に考えた上で『今後の展開』の提案をしたいと思います。


鷲津


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