137号 第1会議室 (2001/10/29)up down
   ● テロ新法の裏で決定している法案
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 現在臨時国会が開かれています。今国会は「雇用国会」となるはずでしたが,アメリカで同時多発テロ事件により,議論の中心がテロ対策法案へと変化しました。
 その「テロ対策特別措置法案」は10月18日に衆院で可決し,そして本日参院を可決,法案成立となりました。

 マスコミの報道だけを見ていると,今国会ではテロ法案しかやっていないのでは,という錯覚をを起こしそうになります。では,実際には,いくつの法案が審議されていると思いますか?。


●国会で審議されている法案数

 今国会で審議されている法案は,65件あります。この他,法律以外に審議されているものもあります。
 調書の「承諾」7件,会計の「決算承認」9件の,計81の案件が今国会で審議されています。

 またこのうち,今国会で初めて提出された案件は19件。ですので,現在審議中の大部分は,以前の国会から引き続き審議を行っている,いわゆる「継続審議」ということになります。


●どんな法案を審議しているのか?

 では,どんな法律案が審議され決まろうとしているのか,いくつか挙げていきます。この81件の中には,もちろん決まったところで,ほとんど誰にも影響がないような,「しょうもない」と思える案件もあれば,実は我々の生活に直結する非常に重要な案件があったりもします。

 今回,取り上げた法案は,

▼道路交通法の一部を改正する法律」
▼特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案
▼ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案
▼公職選挙法の一部を改正する法律案

 の4つです。それ以外については,文末の官公庁のURLで。

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▼「道路交通法の一部を改正する法律」

 道交法はもっとも我々に影響を与えている法律ですが。

【法案内容】
 大型,普通自動二輪車の高速自動車国道等での2人乗りの解禁。

【解説】
 これまではバイクでの高速道路の,二人乗りでの通行は禁止されていました。バイクでの事故率に対する二人乗りでの事故率の比率がそれほど高くないことを背景に,提案されています。

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▼「特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案」

【法案内容】
 特殊法人の業務の適正な運営の確保を図ることが目的の法律。具体的には,下のとおり。
・特殊法人の役員等の報酬を,国家公務員の一般職の給与,退職金程度にする。
・特殊法人の役員全体のうち,離職後10年以内の国家公務員の一般職の人が,1/3以上居てはならない。
・特殊法人の役員が離職した後の5年間は,離職前の5年間に役員が働いていた特殊法人と密接な関係にある「法人」や「その他の団体」の地位に就いてはならない。ただし,その特殊法人担当の大臣の承認を受けたときは大丈夫。


【解説】
 これでもだいぶ要約したつもりですが,まだわかりにくいかも。結局,これまであまりにも高かった特殊法人役員の報酬や退職金を,公務員程度に抑制しようというものです。

 この法案を,特殊法人改革の第1歩として評価するか,このような小手先の改革だけで,特殊法人の廃止・民営化という抜本的な改革には結局踏み込まないのか,は私にもわかりません。

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▼「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」

【法案内容】
1.厚生労働大臣・国土交通大臣が,「ホームレスが多い」と指定した市町村は,下の方針に従って,ホームレスの自立支援をする。

○基本方針
・ホームレスの就業機会,居住の場所,医療の確保
・ホームレス自立支援事業の実施。宿泊場所を提供したり,健康診断,身元の確認,生活相談,就業相談を行うことで,自立を支援する事業など
・ホームレスとなるおそれのある人への生活支援
・ホームレスの自立支援を行う民間団体との連携
・ホームレスへの生活保護法による保護の実施,人権の擁護,地域における生活環境の改善,安全の確保

2.ホームレスの自立の支援策を実行するため,地方公共団体,支援を行う民間団体に対し,国から補助金を出す。

3.ホームレスの実態に関する全国調査の実施。

【解説】
 まず,この法律における「ホームレス」とは,野宿生活者や安定した居住の場所を有しない人を言います。
 この法律は,リストラ等で自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた人が多数いることを背景としています。

 この法案を成立させるためには何よりも,ホームレスに対する世論の,「偏見」「誤解」を解かなければならないと言われています。

 「ホームレスを助ける余裕なんてない」という声もあるのは,確かです。
 一方で,「この不況下で,ホームレスは更に増えるのは確実,その時に自立支援策がなければ,日本は失業者であふりかえる」との議論もあります。
 いずれにしろ,今国会での成立は難しいというのが現状です。

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▼「公職選挙法の一部を改正する法律案」

【法案内容】
1.インターネット等による文書図画の頒布の解禁
2.インターネット等における有料による候補者の氏名等の掲載の禁止
 ・選挙運動のために,候補者の氏名やその氏名が類推されるような事項を,有料でインターネットにより頒布される文書図画に掲載させることはできない

【解説】
 読者の方に最も影響のある法案でしょうか?。
 現在の総務省の解釈では,電子メールやホームページを選挙運動に使用することはできないことになっています。しかし,この法案が成立すれば,メールでの案内も可能になります。
 これで,選挙手法変革のスタートになるでしょう。しかし,まだまだ法案が抽象的かもしれません。
 昨年の国会で提出されているのですが,現在はまだ審議されておらず,廃案にならないことを節に願います。

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 如何でしたでしょうか?。もし興味のない人がいたらすみません。
 一つ言えることは,提出されて,その国会中に成立する法案は,半数以下です。そのことを考えると,今回のテロ対策法案が参院を5日間で通ったり,提出してから,1ヶ月以内で成立するというのは異例であるのは言うまでもありません。

 また,数日以内に提出されるであろう,「衆議院中選挙区復活法案」も,政府はこの国会中の成立を目指しています。
 この法案の是非は別として,国民の要望,優先順位を頭に入れて審議をしてほしいものです。これまでにもあったような,国民の意思を無視した国会運営だけは辞めてもらいたいですよね。

 もっと他の案件や,詳しく知りたい方は,以下のホームページをご覧下さい。

首相官邸 http://www.kantei.go.jp/
衆議院 http://www.shugiin.go.jp/
参議院 http://www.sangiin.go.jp/


 最後に余談。テロ対策法案の正式名称を知っているでしょうか?。
 正式名称は,
「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案」
 と言います。わかるわけないですよね。

緒方


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