153号 第1会議室 (2002/02/25)up down
   ● 議員定数って?
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 来年はいよいよ統一地方選挙です。さて,ここで皆さんに質問があります。皆さんがお住まいの地域の都道府県議会または市町村議会議員の定数が果たして何人なのか,ご存知でしょうか。
 こう聞かれて,「はい,○○人です」と正確に答えられる方は,そうはいないのではないでしょうか。

 今週はその議員定数がいったいどのような基準で定められているのか,また今の議員定数が適正なのか,現在より増えた場合にどうなるのか,では減った場合ではどうなるのか,を考えていきたいと思います。

●法定定数と議員定数

 各議会の議員定数は,地方自治法に基づき,人口に応じて決められています。この定数を「法定定数」といいます。しかし,実際には法定定数と同数の議員定数を定めている自治体はほとんどなく(全国671市のうち9市のみ),ほとんどの自治体は条例によって,法定定数よりも議員定数の方が少なくなっています。

※参考

 市議会の法定定数は,国勢調査の確定値等に基づく人口により,以下のようになっています。

  ▼人口が,
   ・ 5万未満      − 30人
   ・ 5万以上15万未満  − 36人
   ・ 15万以上20万未満 − 40人
   ・ 20万以上30万未満 − 44人
   ・ 30万以上     − 48人

   ・ 30万以上50万未満の市にあっては人口10万,人口50万以上の市にあっては,人口20万を加えるごとに各々議員4人を増し,最大100人で定数の上限としています。

 法定定数より議員定数を減員している自治体の主な理由は,財政的な問題とそもそもそれほど多くの議員は必要ない,との考えからです。

 例えば,京都府にあるA市では,法定定数36名に対し,条例で議員定数を21名と決めています。沖縄県のB市でも,法定定数30名に対し,議員定数は22名と決めています。

 現在,急速に市町村合併論議が高まっております。議員の在任特例法(市町村合併が成立しても一度目の選挙は議員定数は従来のままの定数でおこなう)があるにせよ,合併になれば二度目の選挙からは議員定数が大幅に削減されてしまいます。また世論の流れも,財政難のおり固定費削減のために議員の数はもっと減らすべきなのではないか,という方向になっています。

 では,議員定数が現在よりも減った場合,また増えた場合では,議会の運営や住民の生活にどのような影響が起こるのでしょうか?

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●議員の数が増えた場合

 議員定数が増えるというのは,世論の流れに逆行していると思われるかも知れません。そのため,あまり現実性のない話になるかもしれません。しかし,ある町会議員の方とお話していた時に,
「本来,地方議員は町民の願いにすぐに対応できなくてはならない。そのためには,各町内会に議員1人は必要。今,うちの議員定数は22。町内会は42あるから倍くらいにしなければならない」
といって,議会に提案したりもしています。これは少数派の意見かも知れませんが,このような考えを持っている人もいます。
 また,人口増加によって議員定数が増える場合もあります。

【メリット】

  ・地域の代表的要素が強くなり,自分の地域のより細かな所にまで目が行き届きやすくなる
  ・議会でより多様な意見が交わされ,住民意識に近づくことができる
  ・議員を「先生」といった格上意識が少なくなり,「世話係」的存在で,より身近に感じられる
  ・多様な資質を持った議員が当選する可能性が増える

【デメリット】

  ・議員報酬が増え,財政支出が増える
  ・仕事をしない議員がいても議会が回るようになり,議員のモラルを低下させる危険性がある
  ・質の伴わない議員が存在する恐れがある

            といったことが考えられます。

●議員の数が減った場合

 議員定数が減る場合は,数多く考えられます。定数を増やすよりもむしろ現在は定数が減ることの方が多いのではないでしょうか?財政の問題,人口減少の問題,市町村合併の問題などなど,いろいろな問題の解決のために,議員定数を減らすことが考えられます。

【メリット】

  ・議員報酬が少なくなり,財政支出が減る
  ・少数になることで,議員一人ひとりの活動による影響力が強くなる
  ・選りすぐりの議会となる可能性がある

【デメリット】

  ・議員一人にかかる有権者の数が大きくなることで,住民の声があまり届かず,議員,議会が住民意識から乖離する恐れがある
  ・議員一人の仕事量が現在より増え,報酬と労働力が見合わなくなる恐れがある。時間が無くなるため,許可されている兼業が困難になる
  ・住民から顔の見えない議員が多くなる

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 この場で,議員定数を増やすべきか,減らすべきか,現状維持が良いかの結論を出そうとは思っていません。
 現在数多くの自治体の財政状況が逼迫しており,議員定数と議員報酬は自治体財政と切っても切り離せないものになっています。

 某市・K市議(48才)。奥さんと10歳の子供が一人。人口4万3000人の街で,議員報酬は1ヶ月25万円。税金などを引かれると,手取りは17万円。もちろん他に賞与と1ヶ月約35万円の政務調査費がつきますが,Kさんはこれに毎月5万円追加し,約40万円を政務調査費として費やします。
 Kさん曰く,「真面目にやればやるほど金がかかる」この状態では,奥さんの給与なしでは生活は苦しいものとなります。

 現在の議員は名誉職か専門職かもあいまいで,中途半端な存在になっている感があるのではないかと思います。私は名誉職か専門職かどちらかに限定すべきだと思います。
 名誉職ならば,兼業を義務化し,兼業しているサラリーマン議員や自営業議員に配慮して,議会の開会を夜間や休日におこなうことなども考えるべきだと思います。その代わり,その場合は選挙民も,名誉職だということをしっかりと認識し,「議員は何でもしてくれる人」という意識を払拭しなければなりません(これは名誉職の場合に限らず必要なことかもしれませんが・・・)。そうすれば議員報酬を低く押さえることができ,議員定数を増やすことも可能になります。

 また専門職としての議員ならば,もっと給与を上げ,同年代のサラリーマンの平均よりも多少高く設定すべきです。4年に一度は選挙があるというリスクがあるため,そしてそれだけ給料を,しかも税金から出しているのだからしっかりと働きなさい,という責任感を持たせるためです。
 この場合は「少数精鋭」という色を持った議員になっていくと思います。

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 議会は住民代表の集まりです。地方自治法上,議決機関とされる議会の人数は果たして何人が適当なのか。このことは「こたえのない問題」なのかもしれません。

 議員の数が何人であるにしろ,住民から選ばれた議員全員が,その自治体や地域の将来を見据えた上で,その住民が幸せな生活を送るための活動をしてくれれば,その自治体は必ず成功する,と私は思うのですが。

 さて,この議員定数について,皆さんはどうお考えでしょうか。


緒方


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