157号 第1会議室 (2002/03/25)up down
   ● 落選者のその後vol.2 〜衆院選落選から2年弱〜
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 以前,統一地方選挙に落選した人のその後の活動を掲載したことがありました。その際に,国政選挙に落選した人のその後も教えて欲しいというメールをいくつか頂いておりましたので,今回は前回衆議院選挙に落選し,現在もなお活動を続けているAさんに,話を聞いてきました。


○Aさんデータ

 ・1999年6月の衆議院選挙に初めて立候補
 ・当時30代,若さを売り物にした選挙戦
 ・もともとはその選挙区の人間ではない,「落下傘候補」
 ・中心的な支援者は,学生時代の知人,地元のおばちゃん,前職でできた知り合い,学生
 ・数万票獲得するが,結果は惜しくも次点


□落選してからの活動

緒方(以下O)
「本日は宜しくお願い致します。」

A
「普段,緒方さんとかしこまって話をすることがあまりないので,照れくさいですね。」

O
「まず,落選してもまた次の選挙を目指そうとしている理由は何ですか?」
A
「前回の選挙では,正直言って自分でも,どれだけの票が取れるのか全くわかりませんでした。勝てるかもしれないし,1万票も取れないかもしれない(当選ラインが7万票の選挙区)。結果として,落選はしたものの,数万人もの人が私の名前を書いてくれました。これらの方々は,周りの候補者よりも私の方が何かをしてくれると感じてくれたのだと思っています。一度出たものの責任として,このままで終わるわけにはいかないと思いました。また,再び選挙に出て,当選して,「この人に入れて良かった」と思ってもらうことが,私に期待してくれた皆さんへの恩返しでもあると私は思います。」

O
「ということは,票があまり取れていなければ,次は出るつもりはなかったということですか?」
A
「もちろんです。票が少なかったということは,私の考え方が一般社会からは受け入れられなかったのだということになりますから。それでは政治家はつとまりません。」

O
「落選直後はどのような活動をしていたのですか?」
A
「投票日翌日の朝から駅で演説をしました。選挙中はマイクを使って騒がせたり,選挙カーを低速で走らせているために渋滞を引き起こしたりで,大変ご迷惑をお掛けしましたから。そのお詫びと選挙のご報告をするために演説させてもらいました。まあ,それ自体が迷惑という人もいるかもしれませんが(笑)。」

O
「この時期(選挙の後始末の時)に一番苦労したことは何ですか?」
A
「選挙事務所はどこでもそうだと思いますが,選挙の後のことは何も考えていませんでした。次も目指すということは決めていたものの,自分の生活,選挙後の事務所,スタッフ,方針,何も決まらないまま時間だけが過ぎていったように思います。しかも,選挙中の資料や物品の整理,名簿の処理・・・。自分の生活もままならない状況でこれだけのことを考えるのは,あの時は不可能だと思っていました。」

O
「やはり,経済的なことは誰もが心配されるところですよね?」
A
「幸いにも妻が働いていましたので,路頭に迷うという心配はなかったものの,選挙中にいたスタッフを雇うことはもちろんできませんし,事務所も構えることも難しい状況でした。
 これからの活動を一人で行っていくのは絶対に不可能ですので,その点は一番苦労しましたね。」

O
「やはり落選後1年間は挨拶回りの毎日でしたか?」
A
「私の場合は挨拶回りばかりを優先はしませんでした。自分が落選したのは政治家として足りない面があったということ。そのため東京に行って,国会事務所で数ヶ月間研修をしたり,数多くのシンポジウムや集会に聴衆として参加しました。普通そのような会に行く目的は,自分の宣伝がメインなのですが,私は自分の勉強のために参加しました。
 この時期に選挙区から長期で離れるということは,非常識ととられましたので,批判もだいぶ頂きました。」

O
「あっ,それ私も聞いたことがあります。率直に聞きますが,色々な批判を聞いた上で,自分のとった行動はどうだったと思いますか?」
A
「決して間違っていたとは思っていません。私は落選して,一度頭の中をリセットしたかったのです。なぜ浪人生活してまでも国会議員になりたいのか,自分が議員になったら何ができるのか,自分に何が足りないのか,これから何をすべきなのか・・・。国会で活動することで,心身ともに再出発を諮りたかったのです。正直言いまして,このままの流れで,同じように地元の挨拶回りをしていくと,いつの日か自分の活動に自信や威厳を持てなくなるのではという不安があったとのも事実です。
 ただ,それによって他の落選候補者よりは地元で挨拶回りをする時間が減ったのは確かです。しかし,何もしていなかったわけではありません。挨拶回りというのは,どこまでやれば良いというのはありませんから,自分の課したノルマは果たしたつもりです。
 私を応援して下さる方の期待に応えるということは,議員になるためのことばかりをやるのではなく,その後いかに即戦力として活躍できるかだと思っています。」

O
「では,現在は主にどのような活動をしているのですか?」
A
「現在の活動のメインは地元の会合に参加することです。消防団や自治会など,誘って頂けるものはとことん顔を出しています。
 この4月からは本格的に選挙体制に入ります。正直言っていつ選挙あるのかは全くわからないのですが,いつ解散しても大丈夫という状況を作る予定です。」

O
「具体的に選挙体制というのは何をするのですか?」
A
「朝の駅立ちはこれまでも毎日しているのですが,ポスターや会報の作成,全戸ポスティングの実施,本番へ向けての戦略会議なども開いています。」

O
「現在の事務所体制をお聞かせ下さい。」
A
「現在は自宅アパートとは別に事務所を構えています。収入は,政党に所属していますので,政党からの交付金,妻の給与,カンパ,月に2回くらいある講演料です。以前は福祉施設などに勤めたこともありましたが,カンパがなければ今の活動は成り立っていません。事務所の有給スタッフは一人。他に随時,ボランティアの学生さんや主婦の方が来てくださっています。」

O
「選挙前と落選してからで,Aさんの性格で変わったところはありますか?」
A
「選挙前は自分でもわかるくらい頑固でした。何もかも自分で決めなければ,口を出さなければ納得がいかない。
そうしなければならないものだと思っていました。特にその時のスタッフには迷惑をかけたと反省しています。今になってやっと,自分が口を出すことで話しややこしくなったり,時間を浪費したり,私が決める必要のないこともあるということを認識できるようになりました。」

O
「たくさんありすぎることだと思いますが,今最も苦労していることを敢えて一つだけ挙げて下さい。」
A
「一つだけ・・・,そうですね,選挙に勝つための活動と,国を良くするための活動が一致していないことに自分のやるせなさを感じます。もちろん,自分の思いを実行するには,まずは勝たなければならないということは重々わかっています。しかし,先程も言ったように,議員になるためではなく,議員になってこの国を良くしたいから,私は今活動しているのです。
 ただ,私は組織の人間でもありますので,私だけの判断では決められないことも良くあります。その時に,矛盾を感じることもあります。民意とかい離しているのではと思うこともあります。そんな時は,とても苦しいですね。」

O
「最後に,本誌の読者の方々に一言お願いします。」
A
「細かいところでは色々と苦労するとことがありますが,相対的に見たとき,私は幸せ者です。なぜならば,無職でもご飯を食べていくことができます。いつも誰かが食べ物を持ってきてくれたり,カンパをくれたり,そして妻に支えられています。私は恵まれています。私が政治を志している目的の一つは,自分は満足しているから,幸せだから,次は他の人々を幸せにする手助けをしたいのです。
 読者の中には,私と同じ境遇の方もいるかもしれませんし,これから初めての立候補をしようという方もいらっしゃるかもしれません。
 そのような方々には,是非とも「自分の幸せ」を感じて頂きたい。そして共にこの国を良くするために,まずは選挙に勝ちましょう!
 それと,私は前の選挙の時から「バーチャル選対」を見て参考にさせてもらいました。私が疑問に思ったことや,おかしいと思ったことはすぐにメールで投稿しています。でも本当にこのようなメルマガがあって助かっています。皆さんもどしどしメールで問い合わせてください。そしてこのメルマガ読者からどんどん良い候補者,良い議員が誕生したら素晴らしいなと思っています。」

O
「最後はうちの宣伝までして頂いて,本当に有難うございます。いつ解散があるかもしれませんが,是非ともこれからも頑張ってください。私もできる限りのお手伝いをさせて頂きますので。」
A
「こちらこそ,有難うございました。」



緒方


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