160号 第1会議室 (2002/04/15)up down
   ● 戦国時代(安土桃山時代)と対比してみる選挙戦略
→office-SPCタイトルページ



 戦国時代(安土桃山時代),数多くの武将たちが領土・領地獲得のため,日夜,血で血を洗う戦いを繰り広げていました。そのような中で,織田信長・豊臣秀吉・徳川家康と続き,戦乱の世を治める英雄がでてきたことによって,天下の大乱は終焉を迎えることができました。
 1467年に始まった応仁の乱以降,約130年続いた戦乱の中では,いかに領土・領地を獲得するか,いかに敵に勝つか,いかに軍隊を強固なものにするかなど,様々な戦略・戦術が考え出されてきました。

 さて,選挙戦は戦国時代の戦いに似ていると言う方が,数多くいらっしゃいます。実際のところはどうなんだろうと思うのですが。
 そこで今回は,戦国時代に利用された様々な戦略・戦術を,現代の選挙戦略・戦術に置き換えて,比較検討してみたいと思います。


□間諜・・・乱波,透波

 「乱波」「透波」という言葉はあまり一般的な言葉ではないと思います。知らない方が多いのではないでしょうか。広辞苑では『戦国大名が野武士・強盗などの中から召し出して,間諜または軍隊の先導などを勤めさせたもの』としています。簡単に言うと「間諜」や「スパイ」ということになるそうです。例えば,桶狭間の戦いに勝利した織田信長は,桶狭間に今川義元が陣を張って休んでいるという最新情報を,この「乱波」「透波」から報告を受けたともいわれています。
 では,この間諜の役割はいったいどういうものだったのでしょうか。
 間諜=スパイとは,相手方に潜入して情報を自陣営に流したり,自陣営に有利になるように相手方にニセの情報を流したりと,「情報」を駆使して様々に戦況を変化させる役割を担っています。
 戦国時代よく見受けられた例としては,商人の姿に身を変えて敵国に潜入した間諜が,商人ということで怪しまれないことを巧みに利用し,敵国の情報を本国にもたらした,などということが数多く見受けられました。このような事例は商人だけではなく,力士・宮大工・きこり・船頭など,移動が頻繁でも怪しまれないような様々な職業に化けて,間諜として活躍していたようです。

 さて,現在の選挙戦で間諜・スパイというと,敵陣営から送り込まれてきたり,また送り込んだりする選挙運動員や支持者などがあげられると思います。敵陣営に深く入り込み,電話やFAX,電子メールなどで情報を送るといったところでしょうか。例えば,スパイが送ってくる情報としては,以下のようなものがあげられると思います。

 ▼敵の有力支持者の氏名・住所・所属団体など

 ▼敵陣営が行っている選挙違反

 ▼敵陣営の弱味・弱点

 ▼敵候補者の泣き所

 ▼得票率の高い地域・団体など

 ▼裏選挙対策本部の存在

 ▼選挙を仕切っているリーダーの手法

 ▼敵陣営が考えている選挙戦略
   ・
   ・
   ・

 情報だけではなくて他にも自陣営に有利に導くように,敵陣営にニセの情報を流したり,わざとに様々な障害を敵陣営にもたらしたりと,スパイは攪乱作戦にも利用可能です。
 身元がしっかりとしていない選挙運動員やアルバイト学生,あまりよく知らない支持者で活動の支援をしてくれている人など,様々な形に変えて送り込んでくるやもしれません。滅多にあることではないそうですが,私も二度ほど経験があります。お気をつけて。


□寝返り

 戦国時代には頻繁に寝返りが見受けられました。国境地帯の武将などに条件のよい提案などをすることにより,主君を変わる寝返りが数多くありました。豊臣秀吉などは寝返り工作の天才とも言われ,豊臣秀吉の陣営に交渉に行った武将はほとんど寝返ってしまうなどといわれるほどでした。敵陣営に交渉に当たった武将の寝返りの噂を流し,帰れなくしてしまうのが常套手段だったともいわれていますが。寝返りの効果は絶大です。その支配下にある武将から兵員から領土からがすべて自陣営に配属されます。こうなるとバランスが崩れてしまい,敵陣営を崩壊させるのに十分な状況を作り出すことさえできるかもしれません。

 さて,現在の選挙戦で寝返りを考えてみると,例えば敵陣営の支持を打ち出している自治会などをまるごと寝返らせてしまい,票と支持者を獲得するとか,敵陣営よりの会社・団体・組合などを説得し,寝返らせてしまうなどがあげられると思います。
 ある団体を寝返らせた例を挙げてみると,その団体は上部団体の関係からずっと政権与党の応援をしていたのですが,個人的に候補者がその団体の長の奥さんと親睦が深かったため,自然に団体の長とも親しくなり,団体の長に候補者が働きかけたことで団体の長が幹部会を動かし,上部団体の支持とは別に支持を表明したというものがありました。敵陣営の支持を打ち出している団体が丸ごと自陣営の支持に回るとすると,例えば100票減って,100票増えるとなると,敵陣営との差は200票つくことになります。ものすごい数です。

 戦国時代も現在もそうですが,寝返りの効果には絶大なものがあります。

□破壊工作・不穏工作

 戦国時代の破壊工作には,過激な例がたくさんあげられます。夜間に敵の領土を滅茶苦茶にするために,間諜が田畑に火を放ったり,兵士が町に火を放ったり,強盗・殺人など,相当過激でした。これらの工作をすることによって,直接的に被害を与えることによって,領地の支配力の低下と領地の経済効果を下げる働きがあります。
 もう一方の不穏工作には,うわさによる攪乱や煽動などが挙げられます。うわさによって人心を惑わし,領地の人々に領主への敵対心を上昇させることによって,経済効果を抑制したり,寝返り工作につなげたりと,様々な効果をもたらせます。

 さて,現在の選挙戦で破壊工作・不穏工作を考えてみると,例えばこれは犯罪ですが,選挙戦中の街宣車のタイヤをパンクさせたり,バッテリーを使えなくしたり,公営掲示板のポスターをはがしたり,直接的な破壊工作をすることが考えられます。これは陰湿な器物破損罪ですけれども。不穏工作の方も犯罪性のあるものが考えられます。例えば敵候補者のスキャンダラスな怪文書を特定の地域に無差別に配布したり,敵陣営の支持者に候補者の悪いうわさを流したりが考えられます。

□まとめ

 今回,戦国時代と現代を対比させ検討してきましたが,そのほとんどがあまり主要な戦略・戦術ではなかったと思います。ですが,間諜・寝返り・破壊工作・不穏工作などは,現在の選挙戦にも例えとして置き換えることが可能だったような気がします。やはり選挙戦は戦国時代の戦いに似ていると言う方が,数多くいらっしゃるというのはうなずけるような気がしますが,みなさんはいかがだと思われましたか。

鷲津


バーチャル選挙対策本部 購読

 発行は毎週月曜,料金は無料です。
 配信開始をご希望の方は,こちらのフォームへメールアドレスを入力してください。

■メールマガジン登録
電子メールアドレス(半角):
 バーチャル選挙対策本部は、まぐまぐ公認「殿堂入りメールマガジン」です。この機会にぜひご購読を!。
 
Powered by Mag2 Logo

This page was made by office-SPC
→office-SPCタイトルページ