164号 第1会議室 (2002/05/13)up down
   ● いよいよ始まる?ネットで選挙運動
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□2002年4月8日の日本経済新聞朝刊

 今から約1ヶ月半前の2002年4月7日に「2004年の参院選導入めざし,インターネットでの選挙運動,ホームページの利用を全面解禁の方針」を政府が打ち出しました。翌8日の日本経済新聞の朝刊には方針の内容が掲載されていました。内容を簡単にまとめると,以下のようになります。

総務省はホームページについては

 (1)有権者が投票判断の参考にする情報が得やすい
 (2)有権者が自発的にアクセスする媒体で,不特定多数の人の迷惑にならない

  ――などと判断し,全面解禁することにした。

▼解禁事項
 (1)ホームページの利用を全面解禁
 (2)ホームページ上で,動画や音声の活用
 (3)意見などを書き込む掲示板の設置
 (4)チャットコーナーの設置
 (5)一般有権者の候補者応援サイトの開設

▼禁止事項
 (1)電子メールやメールマガジンの活用は禁止

▼その他
 (1)掲示板では対立陣営の書き込みによる中傷なども懸念されるが,総務省は「対策はサイトの管理者の自主的な運営に任せる」としている
 (2)一般有権者による候補者応援サイトの開設解禁には,若年層などの政治参加を促す狙いがあり,開設に当たっては法的な規制を設けない方針

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□実際の選挙戦を想定し,考えてみると・・・

 本メールマガジン「バーチャル選挙対策本部 第132号・第136号・第140号」の3号を利用し,電子メールを利用した選挙戦を特集しました。今回の方針では,電子メールやメールマガジンの活用は禁止となりました。せっかく特集したので,私としては非常に残念なのですが。
 ただ,電子メールの不特定多数への送信はできないとしても,どこまでの範疇で電子メールの送信が可能なのかどうかを明示していただかないと,私信と選挙運動のためのメールとの区分があいまいとなってしまうのではないでしょうか。One to Oneのやりとりの中では,どれだけ電子メールが一度にどのくらいのひとびとに送られているかわからないではないでしょうか。ある意味,法の抜け穴はいくらでもあるのですから,具体的な対応が出ることを期待します。

 さて,選挙運動へのホームページ利用解禁の話に戻ります。
 では,上記のような方針に基づいてホームページを利用すると,実際にはどのような選挙戦が可能になるのかを考えてみたいと思います。


(1)ホームページの利用を全面解禁

 今まで後援会報やビラのような形で,郵送したり演説中に配布したりしていたものが,ホームページで公開することが可能となります。ただし,見る方が見に行こうとしなければホームページは見ることができません。後援会報やビラも郵送や配布しながら,ホームページにも掲載するなどの方法が現実的です。ホームページはすぐに更新したりできる性格上,速報を掲載したり随時報告を掲載したりすることが得意です。ただ,現在文書として配布が禁止されているものをどのように扱うのかが焦点となると思います。全く規制がなくなるといっていますが,立会演説会の広報や街宣車ルートの公開,自分に有利な選挙戦の分析結果,選挙運動協力のお願いなど,どのようなところまで許されてくるのでしょうか。やはり文書での選挙違反の事例は従来通りに踏襲されてくるのでしょうか。気になるところです。


(2)ホームページ上で,動画や音声の活用

 動画や音声が利用できるということは,いつでもどこでもホームページにアクセスすれば,その候補者の演説を聞くことができたり,もしかすると立会演説会の実況中継がみれるかもしれません。また街宣車実況中継などもモバイル機器と一体化すると可能となるのでしょう。こういうことができるとなると,見逃した立会演説会などを見ることができたり,各候補の演説が家に居ながらにして聞くことができ,テレビの政見放送とは違ったライブ映像を見ることができるようになるのではないでしょうか。

(3)意見などを書き込む掲示板の設置

 直接掲示板に意見などを書き込むことによって,候補者がどのようなことを考えているのかを知ることが可能となります。○○という政策についてはどのように考えているとか,○×という政策には絶対反対など,直接伺い知ることができます。今まではごく少数ですが,質問状を送付し,それに回答いただくということでしか伺い知ることができなかったものを,公開の場で,さまざまなことについて聞くことが可能です。ただ,この掲示板の扱いは,扱い方を間違えると誹謗中傷の温床ともなりかねません。愉快犯による掲示板へのいやがらせなども考えられます。掲示板専門の選挙運動員を配置するくらいの覚悟で,随時書き込みを管理する必要があると思います。


(4)チャットコーナーの設置

 チャットコーナーはネットを通じてのリアルタイムでのおしゃべりコーナーといったところでしょうか。生討論と同じとなりますので,例えば候補者とネットを通じての生の会話を楽しむことができると思います。またチャットも映像チャットがありますので,お互い顔を見ながらの会話も楽しむことができそうです。候補者が事務所にいながら有権者と会話ができるとなると,ある種戸別訪問に似た形を取ることができるのではないでしょうか。顔と顔を見合わせてのチャットは,非常に効果的だと思います。


(5)一般有権者の候補者応援サイトの開設

 これは問題点が数多く噴出すると思います。応援と一口にいっても,婉曲的に候補者を非難をする応援もあるでしょうし(例えばほめごろしと呼ばれる手法),「応援をしています」と書きながら内容が誹謗中傷だったりと,ホームページの内容によっては非常に問題となると思います。規制がなくホームページが作成された場合,もしも誹謗中傷がひどくて,そのホームページを閉鎖したいと思っても,自主的にホームページを閉鎖するか管理している業者に閉鎖させるかなど,手段が限られます。誹謗中傷を見分ける目が有権者に必要なのでしょうけれども,海外のホスティング業者の場所などを利用して,意図的に誹謗中傷されても手も足も出ない可能性もあります。


□ホームページ解禁について

 私個人としてはホームページの選挙運動利用は大いにすべきだと思います。しかし心ならずも誹謗中傷や個人攻撃をする人がおそらく出現するのではないかと思います。それもまたネットの効用として受け取り,誹謗中傷や個人攻撃を有権者自身が見分けられる目を持つことが大切となるのでしょう。規制規制で,これはだめあれはだめでは,良い面もつぶしてしまうことになるやもしれません。現在でも誹謗中傷が横行している掲示板が数多くあります。しかし,それらすべての掲示板を,規制や法で防げるようなものでもありません。ホームページを利用するということは,このようなことも想定して,考えなければならないと思います。


鷲津


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