第176号 第1会議室 | (2002/08/05)![]() ![]() |
● 鷲津のひとりごと ● |
長きに渡りごぶさたしておりました。 この数ヶ月間,世の中では様々な動きが起きていました。 やっとというか,今までゆっくりしていたというか,不正入札や談合といった法律違反の摘発が数多くなされるようになりました。今回はその一端をのぞき見てみることにします。 □談合と不正入札 Yahoo!JAPANのニュースには「談合と不正入札」というカテゴリーが存在しています。 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/tender_system そこを見ますと,今話題の北海道選出議員の話や各地での談合や汚職の記事がたくさん載っています。「もっと見る」を押しますと,5ページにわたり過去のニュースを見ることができます。 以前でしたら,業者は献金・裏金などを渡すことによって議員に口利きをしていただき,「天の声」と呼ばれる落札を,さも当たり前のようにおこなえていたのですが(これは完全な違法行為ですが),今ではしっぽが出てしまうと確実に調査されるようです。 今まではこれぐらいよかっただろう程度に思われていたことが,ここ最近では,きちんとした法の運用とも思われるような逮捕が次々と行われています。このことは「談合と不正入札」ニュースに掲載されている汚職事件の記事を見ても,明らかだと思います。 □議員の周辺では さて,このような動きの中,以前でしたら同様に稼ぐことができた議員周辺でも異変が起きています。業者が裏から手を回したとして「仕事の取れる議員」と「仕事の取れない議員」の選別をおこない,「仕事の取れない議員」から献金や裏金を引きあげる現象が起きています。 近頃は逮捕される危険性が高まったことで,近頃は見つからなければやってもいいというような風潮から,応援しても仕事の取れない議員=力のない議員,から手を引こうという考えが広まってきているようです。 以前は「議員=入札に強い」と,議員であれば誰でも良かったのが,「力のある議員=入札に強い」というように変わってきているようです。これは地域性のあることなので,全国でそうだということではないですが,かなりの地域でこのような動きがあるようです。 たとえば建設業においては相次ぐコスト縮減のあおりで,発注される工事量が少なくなってきています。工事量が少なければ,当然発注あたりの議員の密度も増えます。その中では普通に入札に関わるだけの議員ではなく,その中でも力のある議員が影響を強める結果となっているようです。 □収入源の収入減 今までがあまりにも野放し状態だったものが,ここに来て法律を運用する側が「法律違反はきちんと捕まえる」という原点に戻っただけなのでしょうけれども,あまりの急激な変化に業者も議員も,とまどいが出ているようです。 ですが,やはり法は法なので,ぼちぼち全力を挙げて止めなければ,中途半端なやりようではやはり捕まってしまうのではないでしょうか。「私は大丈夫だろう」というのは,通用しなくなってきているようですね。 そうなると当然,この種の議員は,今まで貴重な収入源として確保できていた献金や裏金も減少していくことになります。しかし,今まで献金や裏金をあてにしていたのが無くなるとなると,生活するには支出を少なくするか,収入を増やさなければなりません。 支出を少なくするのもかなり大変なことですし,それに代わる収入を探すとしても,なかなか探すのは難しいです。だからといって,「今まで通り」を続けてしまうと,逮捕される危険性が高くなってきます。実際はどのようにしてよいのやら,大変な状況にあるのではないでしょうか。ただ,早く違法行為から身を引かないと,明日は我が身となるかも・・・。 □ではどのようにしていけばよいのやら・・・ この状況の中で,着々と行政改革や財政改革が行われています。大幅にシステムが変更されている中で,今まで通りのシステムの仕組みの中ではうまくいったことも,新システムの中では,うまくいかないということも出てきています。指名競争入札内での談合のあり方の変化も,その一例ではないかと思います。 ではどのようにしていけばよいのでしょうか。 逆にここはチャンスととらえて,巧妙な新しい談合システムづくりを行ってはいかがでしょうか?。 ただし,これまでのような公正取引上の違法行為や信用失墜があってはダメですし,過当競争で街中の業者が一つ残らず倒産するようなシステムでは当然ダメです。公平性・客観性・透明性が確保でき,しかも自分自身も役に立つことができるような仕組みでなければなりません。この変革の時期は,そういった新しい仕組みを構築するチャンスではないでしょうか。 例えば業者と一緒に勉強会を開催するというのは?。 入札の仕組みや役所のシステムを研究し,さらにどのようにして公平性・客観性・透明性を確保しながら,自分たちも生きていけるシステムを提案する。例えば今でしたら電子政府や電子入札といったシステムに,どのようにすれば対応できるかを話し合ったりすれば,勉強会ということで真剣に議論ができるのではないでしょうか。 アメリカやヨーロッパの事例を研究し,どのように各国が入札問題などに対して考えているかを知ることも,新システム構築の足がかりになるではないでしょうか。 □議員の果たす役割とは 私は,国民がこの国で生きていけるためのシステムを構築するのが,議員の果たす役割であると信じています。確かに国際化は大事ですし,世界の中の日本として位置づけを考えなければなりません。 しかし,国民が生きていけなくなるような公平性・客観性・透明性の確保ができるシステムは,果たしてよいシステムと言えるのでしょうか。みんなで悪くなっていき,生きていけなくなるシステムは,いったい誰のためのシステムなのでしょうか。 今の行政改革や財政改革は「誰」のためのシステムなのかが,私にはわからないです。ここまで経済が疲弊し,悪くなってきているのですから,是非国民が生きていけるためのシステムづくりに是非していただきたいと思います。 (鷲津)
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