第190号 第1会議室 | (2002/11/11)![]() ![]() |
● 統一選に備えた政策のトレンド ● |
来年の統一選挙に備えて準備をされている陣営では,そろそろ緊張感のある状況の中で準備がすすめられているのではないでしょうか。 例えば,自分の人柄や政策などを写真入で書いたリーフレット(パンフレット),また街宣車を用意されているところもあるでしょうし,それ以外にも細々としたものを取り揃えていらっしゃると思います。 しかし,こういった準備の中でも肝心なのは,やはり政策でしょう。これだけは,挨拶に行ったところで説明しなければなりませんし,またマイクを持っての演説でも必ず言わなければなりません。 ただ,この政策を作るにあたっても,やはりそれぞれの時代にあった政策を作っていかなければなりません。 そこで今回は,統一選挙を前にしたこの時期において,注目されるであろう政策を考えてみたいと思います。 □市町村合併 言わずと知れた,市町村合併です。これは,特に政令指定都市ではない市町村においては大変重要な問題です。その中でも1万人に満たないような自治体ではかなり死活問題となっていますので,どういった政策がベストの選択であるのかを十分に見極めなければなりません。 この市町村合併で重要なことは,現在の合併特例法による市町村合併に関する政策がどれだけ住民に伝わるのかということです。たとえば,現実問題として合併を推進するときに,住民の生活に密着した問題がどのように変化をするのかを説明しなければなりません。そして,それもより具体的であったほうが住民にはリアルに捕らえられるということでもあります。 例えば,固定資産税がどうなるのか,保育料がどうなるのかといったことや,介護保険料はどのようになるのかなど,現在それぞれの自治体で持つ裁量の中で行っているものについては,合併することによって,時には高くなったりする場合があるわけですから,そのあたりのことを数字で持って説明してあげるとよりわかりやすくなるでしょう。 □介護保険料 1999年(平成12年)から始まった介護保険も,3年ごとの見直しがされることになっています。来年4月には,新しい介護保険料で運営されることになります。現在どの自治体においても,見直し作業が行われています。全国的には,現在の介護保険料より3割程度アップすると言われています。 政策を打ち出す上で,こういった介護サービスと介護保険料の関係を十分理解する必要があると思います。 そこで考えなければならないのが,来年4月からの医療保険との関係です。つまり,健康保険法が改正されて,受診料が3割負担になったり,お年寄りは定額制から1割負担になったりするなど,特に受益者,つまり住民負担が増えるようになっています。 この同時期に,先ほど述べたように,介護保険料が平均3割アップするわけですから,住民にとっては財政負担が一度にかかってくるわけです。そこで,現在の自治体の権限の中で,住民にとって負担の軽減を少しでも図れる(これは住民すべてでなくてもいいわけですが)方策を考えて,政策として打ち出すことも重要だと思います。 □政策評価 近年は,自治体が行う事業が,本当に適切に行われているのか,本当に必要なサービスなのかを評価する必要性を訴えることが,トレンドといってもいいかもしれません。 これは,やはり住民の目が厳しくなってきたことと,やはり各自治体の財政がかなり逼迫してきたことが原因だと思います。この政策評価を行うことによって,事前の計画段階で綿密なニーズ調査が必要ですし,しかもそれをある程度数値化して,後々に評価できるようにしなければなりませんので,行政はかなりの事務量の増加になります。 しかし,これはあくまでも行政側の問題であって,統一選挙に出ようとされる皆さんは,あくまでも政治の側,つまりチェックする側にあるわけですから,よりチェックしやすい状況を作り出すようにしなければなりません。 また,数値的なものばかりで判断するのではなく,そこに住民の満足度調査を行うなどすることによって,その政策が単なるノルマ達成のものではなく,住民が本当に望んでいるものであることを示せるような仕組みにしなければなりません。 □最後に やはり,来年の統一選挙の政策は,住民がどのように考えているのかという視点をもった政策を掲げなければなりません。 市町村合併にしても,本当に住民が望んでいるのか,行政の財政面での思惑ばかりが先行していないかを見極めて,提言しなければなりません。 介護保険料にしても,どう考えても来年4月から負担は増えるわけです。その負担を介護保険の理念からして保険料を減額できないのであれば,そこに自治体特有の政策を掲げてもいいわけです。 政策評価にしても,あくまでも視点は住民から見るということを忘れなければ,議員にとっても使いやすいものになるはずです。 そのあたりを忘れずに,政策を作っていきましょう。 (吉田)
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